『雨上がりの 傾いた太陽の光をひとり占めにして 俺の大嫌いな坂道を軽々と駆けおりていく 君には その坂の先に何が見えているのか それは俺が見たことのない景色なのか』
ボーイミーツボーイです。性的な意味ではなく。
自分の秘めた光をいまだ知らない少年が、天然で輝きを放つポイボスに出会い、影響され、触発され、人を知り自分を知り、眠っていた自分の可能性に目覚めてゆく話。
この人の作品は初読ですが、ミニマルで洗練された画風のみならず言葉のセンスも併せ持った、非常に優れた作家です。
キャラクター配置はステレオタイプにあえて沿ったものだと思うのですが、オーソドックスな枠の中でどれだけ新しいことをやるか、やれるか。
それを自覚的に試みている野心的な作品だと思います。
ジャズをテーマに持ってくるという冒険が冒険とは意識されないくらいにすっとはまっています。あくまで自然体の語り口、描き方のなせる技なのでしょうか。
この巻の収録内容ではありませんが、著名なジャズミュージシャンをネタにしたギャグなど小技も効いています。
若い時代の痛々しいほどに敏い感性、過剰な反応。そういった描写は少女漫画に顕著なもので、普段自分は敬遠しがちなのですが、この作品に関しては自然に読めます。
最後まで付き合いたい作品です。