去年の発売時に購入して以来、
ストレスを解消したいときには、じっくりながめる。
これぞ、ほんとうの贅沢を楽しめる本。
一針一針、丹念に手で刺された日本刺繍の豪華な衣裳。
それを作られる職人さんの横顔。
『助六』の花道で一瞬つかわれるだけの骨董のお湯のみ。
その藍色の染付模様、手にすっぽり入る形の美しさ。
『先代萩』の「ままたき」のお釜。…。
それらのひとつひとつに寄せる玉三郎の想いがひしひしと伝わる。
美しいカラー頁に魅入られるばかりではない。
そこに綴られる、数々の名舞台での役者としての想い、
役作りの心配りなど、丁寧な言葉の連なりも美しい。
何人かの友人にプレゼントとして贈ったほどだが、
今日は歌舞伎好きの母に送った。
「90歳を経て、もう身辺整理を始めたから、何もいらない」と言う母だが、
この本はきっと喜んでくれるだろう。