三津五郎さんの、城への造詣・思いの深さは、本書の基になったテレビ番組や、某航空会社の機内誌でのエッセイでも、知っていたことが、一冊の本に仕上がると、そんな深さだけじゃない、すごく読者に気遣いした仕上がりになっていることに驚かされた。
構成は、現存12閣とメジャーな城を簡潔に紹介したものに、二つの対談録と短いコラムがいくつか付いているだけ。内容として、カラー含めた写真の多さや、嫌味に響かぬ程度に加減された彼の城への思いや薀蓄が披露されている。
これ、名前のないライターがつくった城ガイドなら情報不足と思うのだけど、不思議なもので、三津五郎さんの手にかかると、「簡潔に要点を絞ったガイド」に思えてしまう。
見どころ紹介にも登場する中井先生、また、これまた屈指の城好きのロンブー淳との対談も、なんか「そうだよねぇ」と素直な共感を持てる内容になっている。
「粋な城めぐり」なんて自分の旅を評するなんて、並の人間は思いつかないし、思いつくヤツはタイガイのバカだと思うが、これがホントに「粋って、こんな仕上がりのこと言うんだねぇ」と思えるのが、歌舞伎役者というものなのだろうか。
粋に対抗して、こちとらギトギトの下種でいくなら、この本って、不倫できれいどころと1泊2日の温泉シッポリ旅行に出た中年紳士が、ポケットに忍ばせて、アンチョコにすると一番効果を発揮するんじゃないだろうか?
「マニアックな薀蓄本」と「通り一遍な100城紹介」「ディアゴスティーニみたいなムック本」との間に位置付けられる、手軽だが内容は決して薄くないガイドブックとして☆1つオマケで5つ☆です。