坂東三津五郎歌舞伎の愉しみ「歌舞伎中級者に向けた内容の、よい本がないので」というのが、この本が出来るきっかけだったようですが、じゃあ、中級者っていうのは、どの位の人???と思ったら、歌舞伎を見始めて2〜3年の方を想定されているようです。
ここ数年の間に、三津五郎さんが演じられたお芝居や舞踊を例に挙げて、かなり詳しくその背景や演出、型、そして演じる際の心持といったところまで、語られています。その辺が、見始めて2〜3年っていう所以でしょうかね。
今まで、お芝居を見ていて、なんとなくわかった気になっていたことでも、改めて三津五郎さんのお話を伺うと(まさに、お話を伺っているっていう感覚に陥る、三津五郎さんの語り口を上手に活かした構成になっています)「なるほど、あれはそういうことだったんだ!」と気づかされることや「今度この演目を見る時は、そこに注目して見てみよう!」という発見や気づきがたくさんありました。
中でも「踊りを観るのは理屈ではありません。『ああいいね。やはりいいね』でいいわけです」という言葉は、当代一二を争う踊りの名手である三津五郎さんならではの言葉として、印象に残ります。
ご自分がこれまでに、諸先輩から教わってきたこと、ご先祖様から受け継いだこと、ご自分で調べ考えたこと、共演者と演じる中で発見したこと etc. 貴重な歌舞伎の「芸の伝承」の一端に触れることができます。
三津五郎ファンの方はもちろん、三津五郎ファンではないけど、歌舞伎好きよ〜!という方にも、オススメの1冊です。