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硬直化した官僚組織の脆弱さ、小国ながらも、ようやく文明社会の一員として勢いよく成長をはじめた組織の強さというものが明瞭に表現されている。
この硬直ということはすべての成熟した組織に当てはまるもので、私もある大手銀行に勤めている身であり、痛く感じるところがあった。組織の硬直化ということでは、国も企業も関係ないものだと思う。
そして、海軍参謀真之が誕生するまでの成長振り、、、子規の晩年、、、明治男の愚直な眩しいまでの誠実さにことごとく心を奪われた。その後の世界大戦との大きな違いをまざまざと感じさせてくれた。歴史の教科書だけでは学ぶことのできない、重要な史実であると思う。
本当に素晴らしい作品です。先が楽しみ。
~日本の学校でもこういうものを教えてあげればいいのになあ、まず勉強が楽しくなるような気がするのですが、、、
ただし、戦争や英雄礼賛の物語ではなく、世間の風評にとらわれず、内外の文献を調査のうえ、登場人物の力量や性格について誉めるべきところは誉め、批判すべきことは徹底的に批判することにより、この時代の人間像を過不足なく描ききっています。
作者も指摘している通り、正岡子規、秋山兄弟という一応の主人公は、この「時代」と「人間像」を描くための一つの題材にすぎません(もちろん、彼ら3名はそのそれぞれの生き方について、英雄たるにふさわしいほどの魅力を持ってはいます)
明治日本人の「生きる」ことへのひたむきさ、一方での、生き抜くために必要な合理主義的な考え方、未来を信じる楽観的な見方などは、前途に希望がもてず閉塞感がただよう現代の我々こそ、見習うべきものなのではないでしょうか。
第2部では、日清戦争から日露開戦直前までが描かれています。なぜ、十分な国力を持たない日本が、当時「世界最強の陸軍大国」と呼ばれたロシアと戦わなければならなくなったのか。
そこにあるのは「国家の威信」といった抽象的な考えではなく、絶対的な力をもつ帝国主義の世界の中で「生き残る」ための悲痛な決意でした。
逆境にあって、ひるむことなく、「熱い想いと冷静な判断」によって、この無謀とも思える戦争に挑んでいく姿は、太平洋戦争前の日本の「精神主義」や現代日本の「事なかれ主義」とも異なった、自らの力で暗澹たる状況の中から一つの希望を選び取っていく決意が感じられ感動を覚えました。
また、その過程を冷静に描く司馬の筆致が、よりこの時代の空気をよく伝えているのだと思いました。
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