モザンビークで地雷撤去作業を指揮していた著者は、地雷を踏んで右の手足を失いました。正確な知識を持った者が自分の体験として記した触雷前後の様子は、語るすべを持たない多くの犠牲者に代わって地雷の恐ろしさを雄弁に語っています。
しかし、この本の真価は、地雷に対する著者の思いが、広い人間性の上に立っているというところにあります。半ば落ちこぼれた少年時代、父の親友のもとで農業を通して自分を取り戻し、教会と家庭で奉仕の精神を養われ、その実践のために軍隊に志願し、軍隊で平和とユーモアについて学び、手足を失って横になっていたベットの上でフルマラソンに出場することを決意する、という具合に、ちょっと考えられないユニークな経歴が、彼の幅広い人間性を物語っています。
「64ヵ国に11000万個、毎年除去しているのは10万個、全部取り除くには1000年」そして、毎日800人が地雷で死亡、という現実を痛いほど知りながら、彼は悲壮感に陥ることなく、マラソンを通して、その現実を世界中に知らせています。