環境問題の重要性が叫ばれてから既に久しく、最近では温暖化の問題なども世間の耳目を集めているのですが、問題の所在に対する一般の理解はまだまだ甘いのではないかと思います。恥ずかしながら小生自信も、「環境」といえば「公害」を連想し、有毒物質の排出規制や絶滅寸前の種の保護といった事柄だけを思い浮かべるといった具合でした。
本書は、そうした表層的な問題設定を超えて、世界中の様々な環境危機の事例を紹介しつつ、十分なデータを添えながら、環境問題の全体像と問題の所在の本質とを極めて分かり易く示してくれているように思います。すなわち、人口爆発と無謀な農業開発による森林破壊や土壌浸食、生態破壊による自然災害激化の構図、有害物質による地球的規模の汚染、そしてそれらの問題の根底にある貧富の格差や先進国による公害輸出などなど、この地球上における人類の営みが、自然環境に対して如何に無理を強いているかが一目瞭然に語られています。まるで人類は地球にとってのガン細胞なのではないかと思えてしまうほど、人の営みと環境破壊が密接に関わっていることが分かります。
読んでいて暗澹たる気持ちを禁じえませんでしたが、「あとがき」の部分にはほんの僅かながら希望の兆しが示されていました。子供や子孫たちのためにも、環境問題をきちんと勉強しなければいけないと思いました。