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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
どこに焦点をあてて読むか読者により分かれるでしょう。静かな問題提起型の本です。,
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レビュー対象商品: 地球最後の日のための種子 (単行本)
なんとも象徴的な北極圏の島の凍土に眠る穀物の種子、原種遺伝子バンクとその創設に努力したベント・スコウマン(故人)の小麦を中心とした活動を米国女性作家が伝記として取り纏めた著書。展開も説得力があり(翻訳も良く、相乗効果あり)、読後感としてはやや悩み深いものがあります。先の見えない人口増と穀物生産力増強のいたちごっこ、単一性拡散と遺伝子組替の行く末、作物単一均質栽培のリスク即ち単一原因による壊滅的被害(欧州のブドウ園の樹が病虫害でほぼ全滅、耐性があった北米種の根に置き換えなどの例もありますね)、少数私企業による作物種子の囲い込み、遺伝子パテント化と金融含めたビジネス化・政治化の漠然たる不安、各国の作物国家戦略の行き着く先など、スコウマンが対峙、孤軍奮闘、挫折と小さな成功を得た数々の問題は今も何一つ解決していません。むしろ以前より少し地に潜った感があり、こちらの方がより未来への危惧を抱かせます。一方でノルウエーのスバールバル諸島の氷土の下に眠る種子達、イメージはロマンチックなのですが目覚める時は何か人類にとって大問題が生じているわけですし。 原題は「小麦畑のバイキング−世界の穀物を守る困難に立ち向かったある科学書−」とでもいったら良いのか、スコウマンの事でしょうが、ここには色々な意味が込められているような気がします。どっちに向かっても先の世界は大変そうです。原著の装丁はどんよりした灰色の空と小麦畑と小さなスコウマンの写真で何か先行き暗示的ですが、日本語版はタイトル、カバーもモダンで種子の写真がバイキングの船のように見えます。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
目からうろこ、硬派の科学ノンフィクション!,
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レビュー対象商品: 地球最後の日のための種子 (単行本)
題名をそのまま読んでしまうと、核戦争後を舞台としたSF作品のように見えてしまうが、 中身は硬派の科学ノンフィクションである。 私たちは作物のたわわに実る田畑を豊かと感じているが 現代農業において世界の多くの地域で栽培されている作物は、 品種改良に品種改良を重ねた一つの種のクローンで、 遺伝子的には単一であるそうだ。そのためその品種が抵抗性を 持たない病原体が出現した時、世界的に壊滅的な被害が出る。 そうした時に過去の品種、あるいは多様な原生種にあたり、 特定の病原菌に強い品種を探す、そのコレクションが必要となる。 それが「遺伝子銀行〈ジーン・バンク〉」であり、 本書はその黎明期から大きな役割を担ったデンマーク生まれの科学者、 ベント・スコウマン氏を中心としたノンフィクションである。 作物の多様性は、すでに先進国の穀倉地帯には無い。 そのため氏は中東やチベットを廻り、困難な現生種の採取・ 栽培に取り組む。その生涯は無理解と研究資金との戦いでもあった。 氏がその生涯の最後に勤めたノルディック・ジーンバンク、 すなわち永久凍土の地下の《地球最後の日のための貯蔵庫》には、 数百種の作物の種子が、低温低湿度に保たれ保管されている。 本書を一読すれば、普段私たちが食卓に如何に無神経であるか 痛切に感じるとともに、真の多様性について考えさせられる。 ただエコエコと声高にヒステリックに騒ぐのではなく、 こういう冷静かつ「科学的な」一冊に出遭えることは、本当に幸せである。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
作物育種にとっての生物多様性の意味を教えてくれます,
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レビュー対象商品: 地球最後の日のための種子 (単行本)
その生涯をコムギの育種と作物の遺伝資源の保存に捧げたベント・スコウマン (Bent Skovmand) の伝記です。スコウマンについては、以下のニューヨークタイムズの記事をご覧ください。 http://www.nytimes.com/2007/02/14/science/14skovmand.html 英語版のWikipediaにも紹介されています。 http://en.wikipedia.org/wiki/Bent_Skovmand 科学書として読むには、内容がやや断片的で物足りなく思うかもしれません。 育種学、遺伝学、分子生物学などの知識があれば、より深く理解できると思いますが、それがなくてもそれなりに興味深く読み進めることができるでしょう。 コムギなどの作物の病気との闘い、「緑の革命」のノーマン・ボーローグの人々を飢えから救いたいという思い、CIMMYTを中心とするCGIARの活動、生物多様性をめぐる議論等々、ひとつひとつは詳しい記述ではありませんが、1970年代からの一連の流れをスコウマンの活動を通して、知ることができます。 読者はそれぞれの関心に応じて、さまざまな受け取り方をされ、思いをめぐらせるのではないでしょうか。
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