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地球の論点 ―― 現実的な環境主義者のマニフェスト
 
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地球の論点 ―― 現実的な環境主義者のマニフェスト [単行本(ソフトカバー)]

スチュアート ブランド , Stewart Brand , 仙名 紀
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,310 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

若き日のスティーブ・ジョブズが熱狂して読んだ伝説の雑誌
ホール・アース・カタログ発行人が描く、地球の「グランドデザイン」。

都市化、貧困、エネルギー、遺伝子組替、環境操作などの一筋縄ではいかない「論点」を、
文化人類学に経済学や生物学、地球科学まで幅広い知見を織り込み、俯瞰的に見て歯切れよく論じる。

【ホール・アース・カタログ(Whole Earth Catalog】
スチュアート・ブランドが1968年に創刊。
世界中に大きな影響を与えた伝説的カルチャー誌として、
全米150万部のベストセラーを誇った。
1972年には全米図書賞を受賞し、カウンター・
カルチャーを牽引する、バイブル的存在だった。

1974年に惜しまれつつ休刊するも人気は根強く、
2005年6月、スタンフォード大学卒業式で
スティーブ・ジョブズがスピーチのなかで、
同誌とスチュアート・ブランドのことを激賞。
また2009年にはオフィシャル・サイトが公開され、
これまで発行された全タイトルが閲覧できる。

内容(「BOOK」データベースより)

世界の動静。人類の可能性。原子力の是非、テクノロジーの進化、スラム経済の勃興、エンジニアと科学者と夢想家の役割、地球工学の公算…若き日のスティーブ・ジョブズを熱狂させた伝説の雑誌ホール・アース・カタログ発行人が描く地球の「グランドデサイン」。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 442ページ
  • 出版社: 英治出版 (2011/6/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4862761054
  • ISBN-13: 978-4862761057
  • 発売日: 2011/6/15
  • 商品の寸法: 21 x 14 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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37 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By naichi トップ500レビュアー
スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学におけるスピーチであまりにも有名になった言葉”Stay hungry,Stay foolish”。そのスピーチにおいてジョブズ自身が述べているように、この言葉は『Whole Earth Catalog』という伝説的な雑誌から引用したものである。最終号の裏表紙に掲載されていたそうだ。

その『Whole Earth Catalog』を創刊した人物こそ、本書の著者スチュアート・ブランドである。カウンターカルチャーの文化を築き、スティーブ・ジョブズやエリック・シュミットを魅了し、ハッカー精神を体現した男。そんな稀代のカリスマが、地球という視点から、さまざまなテーマについて論考した一冊である。

◆本書の目次
第1章 地球の趨勢
第2章 都市型惑星
第3章 都市の約束された未来
第4章 新しい原子力
第5章 緑の遺伝子
第6章 遺伝子の夢
第7章 夢想家、科学者、エンジニア
第8章 すべてはガーデンの手入れしだい
第9章 手作りの地球

まず目につくのが大きなテーマの一つとして、原子力が取り上げられているということだ。まったく、なんというタイミングでの邦訳版発売なのだろうと思う。著者自身の原発へのスタンスは、かつては反核であったものの、現在は親核として原発を推進する立場に鞍替えをしている。本書においても、原発の未来をポジティブに論じきっている。

原発を非難する人たちの反対理由は大きく分けると、安全性、経費、廃棄物の処理、兵器への転用という四つに集約される。これらの拒否理由に対して、著者は四つの論理で応戦している。その四つとは発電量の限界点、足跡による風景の変化、ポートフォリオ、政府のコミットメントというもの。電力供給のキャパシティ、発電所の面積については、化石燃料、水力、原子力という三つのエネルギー源における定量的な比較を行い、炭素の排出量、政府の役割という二点についても、具体的な提言がなされている。またマイクロ原子炉、核電池といった次世代型原子炉の動向なども見据えている。その是非はともかく、論考には緻密な印象を受ける。

本書自身は、震災前に書かれているものであるが、震災後に書かれていたとしても、その言い方はともかく、主張の骨子は変わらなかったのではないだろうかと思う。それくらい、見据えている視点は俯瞰である。ただし、現実的にはローカルの視点も加味される必要があるだろう。

一方で、本書は原子力の話題に閉じた内容のものではない。むしろ、日頃単一で語られたことの多い、「都市問題」、「原子力」、「遺伝子」、「ジオエンジニアリング」などのテーマが、地球のサステナブルという目的に向かって、一気呵成になだれ込むダイナミズムこそが、本書の最大の魅力である。

全体を通して考えさせられるのは、カウンターカルチャーの体現者たる著者は、一体何と対峙しているのだろうかということである。答えの一つに「ポジティブ・フィードバック」という概念が挙げられるだろう。本書の説明によると、「ポジティブ・フィードバック」における「ポジティブ」とは決して良い意味で使われている訳でははなく、むしろサイバーネットの用語では「トラブル」を意味する言葉だ。出力の一部を、入力へ同相のまま戻す「積み重ねられた要因」、わかりやすく言えば「負の連鎖」のようなもの。著者が対抗している相手はそういったメカニズムに対してであり、決して「権威」や「世論」へのみ向けられているわけではない。

その姿勢こそが、著者の論考を唯一無二のものにしている。そして、着眼はどこまでもロマンティックで、アプローチは科学的だ。その論考に魅了される所以は、そんなところにあるだろう。ちなみに、『Whole Earth Catalog』及びスチュアート・ブランド自身については、『ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書)』という本が詳しい。いずれにしても、『Whole Earth Catalog』をリアルタイムで体験した世代の人達のことを、うらやましく思う。

本書のラストの一節は、「自然と人間は不可分だ。私たちは互いに、手を携えていかなければならない。」というもの。記憶に残しておきたい言葉である。
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 副題に英語でecopragmatistとあるけれど、確かに論点によって是是非の態度になっています。著者の言葉で言えば、世の中には一貫性のある論点で理念先行型の「ヤマアラシ型人間」と、経験と事実によって自らの考えは変更していくとする「キツネ型人間」の2種類がいるそうです。
 著者は自らを「キツネ型人間」と規定しています。後半でこの議論は出てくるのですが、ナチス時代のドイツは環境保護に熱心だった「グリーン」だったとか、グリーンに対して環境保護と地球工学的態度の中間的態度である「ターコイズ」(=ブルー)を勧めるとか、興味深い話も出てきます。
 個人的感想ですが、こういう2者択一もまた固定的だなということもあり、またどちらが良いかというのはそれこそ是是非で語られている対象と内容によるような気がします。著者が言う様に政治の世界でのネオコンなどは「ヤマアラシ型」なのでしょう。でも、語られている内容がよく整理されていて分野が科学上の問題の場合、「ヤマアラシ型」であるメリットが「キツネ型」であるデメリットを上回るかもしれません。
 著者が「キツネ型」であり、そのメリットもあるのは、著者のバックグラウンドが生物学で、興味の対象が気候問題や農業・遺伝子組み換えなどの分野であることも深く関係していると思われます。最初の方に人口問題と気候問題それぞれについて例がありますが、対象が複雑で予測可能な程のデータが入手可能で無い場合、最終的に全ての立場の専門家が少しずつ予測を外すという事態も考えられます。こういう場合ガーデニングのように「手を入れるが、ある程度はほったらかしにする」ことが有効である場合があります。

 原著は3.11震災前の出版ですが、原子力発電について記述があるので、気付いた点。
 ・まず、原子力発電について書かれている文章はさほど多くありません。また、内容も概略的なものにとどまっていて、個別の論点を深く掘り下げているわけでもありません。従ってこの本からただちに原子力発電の是非について考えることは出来ません。
 ・著者は原子力発電から得られるエネルギー量と、燃料単位あたりのエネルギー密度から考えています。しかし原発1基あたりの発電量とかウランのエネルギー密度から直ちに原子力発電が未来の発電手段であると考えるのは「飛躍」があります。化石燃料とクリーンエネルギーという軸で著者は考えますが、化石燃料+鉱物資源とその他のエネルギーで考えるべきで、鉱物資源であるウランは絶対量として多くありません。著者はウランは100年程度もつ、将来も新たに見つかると言っています。しかし、鉱物資源は地球環境的には有限でいつかの段階で代替が必要です。しかも、著者にとっては温暖化対策が原子力発電推進の主要論点ですが、化石燃料からの転換としては埋蔵量100年程度はあまりにも少ない。先進国以外の国々のエネルギー源としても使えません。
 ・著者は都市の過密化が効率化という面で地球環境上有利であるという立場で、その延長上に面積あたりの発電量が多い原子力発電は環境に優しいと論じています。まず、過密化ということについては、都市化についても発電設備についても、それが右肩上がりに加速化することが、それに比例して効率化していくことであるかどうか、疑う必要があります。ある程度までは比例するが、どこかに限界点があるのかどうか。もし著者の言う通りなら、原子力発電のように狭い密度で発電量が多い場合は、必ず需要家は過密した都市でなくてはいけません。それと原子力発電所がコンパクトであるというのは限定的な意味だと考えるべきだと思います。主要先進国では、都市の真ん中に100万kw超の原子力発電は設置出来ません。アメリカの場合だと、立地条件では原子力発電所半径1kmは非居住地域、半径10kmは比人口過密地域だったと思います。それと熱出力が大きいので例えば日本は冷却の為に海岸沿いにしか立地出来ません。アメリカとヨーロッパは活断層と地震発生地域には立地出来ないので、アメリカの西海岸にはほとんど原子力発電所はありません。
 ・核拡散については楽観的すぎる印象です。原爆を持っている国で原子力発電を持たない国が多いという点については、逆は真なりで、原子力発電所を持てば原爆を作る可能性は増えます。
 ・次世代原子炉は、海のものとも山のものともわからないと思います。原子力発電の場合、投資回収ということから言えば、カタログスペック通りの効率になるかどうかわかる為には10年以上運転して稼働率が80%とか90%とかになる必要があります。故障が多いとわかれば経済的に成り立ちません。
トリウム溶融塩炉については、開発が必要ではないかと思います。人によっては異論もあるでしょうが、プルトニウムは原子力発電がなくなったあとも処理方法を考えなくてはいけません。トリウム溶融塩炉はひとつの選択肢です。でも、素人がわかるような判断材料がないので、将来どうなるかはわかりません。

 遺伝子組み替えについてかなり明細な論述があるので勉強になりました。温暖化を人工的に減らす地球工学的プランが山の様に紹介されています。著者はフィールドワーク的な視点があり、疑い深い反面、よく読むとロジックが大きくジャンプして飛躍する傾向があります。論理が飛躍する時には思い切って論点を簡略化しています。だから、人類は絶え間なく戦ってきたとか、自然界は無慈悲な競争原理があるとかいう記述もちらほらあります。
 この本はどういう立場のどういう思想の持ち主でも、好きなところを摘んで思考実験できる本です。そういうネタ元として、おもしろい道具です。また、そういう使い方でないともったいない気もします。
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原発、生物多様性、温暖化や様々な環境問題の現状や対応を述べる本などは1年間累計しても、相当数の数の本が世界各地で出版されています。そしてこれは、それらの革新的だったり、従来からのやり方と違った異端的な記述があれば無知識人(読者)から否応に非難される環境本のうちの1つに含まれる。

日本ではジョブズ効果で一躍注目を浴びた著者、スチュアートブランド。環境問題って本当なの?とか、誰が書いたから正しいとか、日本で違う分野の専門家から意見するなど言語道断と思う風潮とか、環境に関して日本はとりわけ敏感であり、積極的な答えを出すのをためらっています。

環境に対して正義という問題を考えるのは難しいです。しかしこれはその指針の選択肢のうちの1つと考えられます。未来というスパンの中で環境は考えられないといけません。このままだと未来はこうなるから○○はダメだ、ではなく、その先の人類のあり方を様々な角度から見ることができる視点を与えてくれます。

詳しい内容は他のレビュー、本書の内容説明をご参照ください。
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