1960年代のバックミンスター・フラーの「宇宙船地球号」の概念を突破口に、現在の科学力(2008年出版)で可能な新しい発展型地球号の姿を描く「地球目線の本」。
著者は、人類は地球にとってもかけがえのない生命体として存在し、70億の人口そのものをあたかも原罪であるかのような意識を子供たちに植え付けるような教育を否定する。
人類が地球と「共進化する」未来像には興奮させられる。日本の未来像は海からの視点に切り替えることで新しい海洋国家ビジョンを提言。「日の本」として太陽エネルギーを利用した「海洋温度差発電」を提唱し、食料と水の問題からも解放されるという。そもそも、この星に本来エネルギー問題など存在しないと断言。
一見ハイテンションの人類学者の夢想話にも聞こえがちだが、原発に関しては京大原子力研の小出裕章さん、海洋環境問題には気仙沼の畠山重篤さん、植林に関しては宮脇昭さんのデーターを紹介するバランス感覚はとても現実的で頼もしい。こと原発に関しては震災前の著作と思えぬほど本書の警告と重なっている。(とても保守系雑誌「voice」に掲載された論文とは思えない。)
20世紀の人類の発展とは、ユニーバーサルデザインに象徴される誰でもスイッチ一つで操作できるカーナビや家電など、「人類をバカにしたような科学」に基づいた方向へ進んできたという。これからは、人間の本来もつ肉体的感覚能力を信頼し、その能力を阻害しない「開かれた科学」に基づくべき新たな人類に脱皮するべきだと著者は言う。人類の可能性を再び信じるべき、ルネサンス再来。