あらすじは他のレビューの方にお任せして私は読んでいて一番辛かったことを書きます。戦後生まれの私は、無事に帰還した方々がなぜすぐにでも戦死した仲間の遺族のもとに行って彼らのことを語らなかったのか・・・不思議に思っていました。自分だけがのうのうと帰還してしまったことで戦友の遺族の家にはとても心情的に行けないというのもあったでしょうが、それ以上に、真実(この本に書かれてあるような)を知る帰還者は、「いったい何と遺族に伝えたらいいものか・・・。」で苦悶していたのだと思います。遺族が納得できるような戦死は殆ど無いのですから。また彼らの死亡原因を伝えるにはそれなら自分がどうして帰還できたかその真実さえも話さなければなりません。狂気の現実の中で何ヶ月も何年も過ごしているのです。息のある友を見捨て、自分が生きるために友の死を喜び、死体から全てを奪い取って進軍し・・そんなことを話せるわけがありません。五木寛之さんの「引き揚げてきた人は必ず良心に背くことをしています」ということばが胸に迫ります。そんな地獄絵図の状況でおきたことに帰還者は一生苦しむのです。著者のようにかなりの年齢になってからもうなされるほどだと思います。NHKのTVで帰還者のことばを聞きました。彼らは今でも「証言したことがよかったかどうか・・わからない・・」と自らの罪の意識にさいなまれているのです。戦争という真実の重みにつぶされそうになりました。