「アメリカ経済終わりの始まり」を読んで以来、著者の書籍は欠かさず読み、講演会も何回か聴いた。(「アメリカ経済終わりの始まり」以前の著作も読んだ)
ニューヨークの金先物価格が2001年に256.6USDであったので、今の価格は6倍以上。
金価格の上昇を予想する識者は何人かいたが、日本で、
1.サブプライムローンの破綻とそれを原因とする欧米の不動産バブルの破裂
2.金価格の上昇
を最も早く予想、断言した実績はお見事としかいいようがない。
当時、米国でも不動産バブルを懸念していたのは、バフェット、ソロス、ジム・ロジャース、FRB退任後のグリーンスパンなど経済・金融界の非主流の実践(実戦)派のみ。(後にグリーンスパンは不動産バブルを招いた犯人の一人とされてしまったが)。
また、金の価格上昇をとなえる者も少しは居たが、欧米の不動産バブルの破裂と金価格の上昇をセットで明言したのは私の知る限り著者のみである。加えると、(円と元以外の)主要通貨に対して米ドル高までセットで的中させたのはお見事としか言いようがない。
本書でも欧米やChina(「中国」という呼称は「中華」という自国尊称を含む国名の略称であるので、日本人どうしなら「シナ」で本来良いのだが、この呼称を嫌う向きもあるので「China」と表記させて頂く)について日本の新聞には載らない見方があり参考になる点が多いが、過去の多くの著作と違い、
1.チャートや表での説明が少なく、一般受けする読み物のようになっている
2.根拠が薄く(確たる根拠なく)菌で放射能を除去できるなど、首を傾げざるを得ない部分がある(広島、長崎を持ち出すのだが、少し核分裂のことを知っている方ならすぐわかる通り、原子炉での核分裂は温度を抑えて行う分だけ放射線・放射性物質が、非常な高温での空中核爆発より多くなる性質があり、同列で比較できない)
という物足りなさや疑問があり、著者の書籍に慣れ親しんだ者には不満が残るので星4つとさせて頂いた。
(金そのものについての記述は盟友と言って良い、増田悦佐氏の著「危機と金」が出版されて間がないので重複があまり生じないようにされたのかもしれません。また、「危機と金」もレビューを記載しているので良ければご覧ください。)
なお、世界の経済の大枠についての著者の判断には感服するばかりで尊敬もするのだが、企業経営者としては自社株式を担保に投資を行い、その結果として自社の株価の下落を招くなど問題もあることは指摘せざるを得ない。(東証適時開示などで公表されていることであり中傷ではありません)