先頃出版された「俳優・原田美枝子」のなかでも、本人の口からわずか数行しか語られていないカルト映画になりますが、脚本家の高橋洋なんかがこの作品を評価しているように、ある意味徹底した“因果は巡る”という日本人独特の重さとタブーが物語の全体になっている重たい映画です。
ただし、あくまでもメインディッシュである針の山や釜茹でなんかの「地獄」は見世物としての描写で、むしろ監督の神代辰巳は、どちらかといえば母と娘、この親子の業のほうに主体を置きたかったんだな、と思わせる怪作です。
岸田今日子、石橋連司、田中邦衛、加藤嘉といったビジュアルだけでなくキャラも相当に濃厚な配役陣営に、お岩さんの稲野和子、死神博士の天本英世(地獄のツアコン!)、雨月物語の毛利菊枝といった怪談映画の面々に、国際プロレスのマンモス鈴木らが地獄の鬼となり、圧巻は誰が誰だかわからぬ身長30メートルぐらいの閻魔大王の金子信雄と、もうどこまでも最強なキャスティングで、それぞれの俳優の個性のぶつかり合いも、この映画の醍醐味です。
ほぼ同時期の篠田正浩監督の「夜叉ヶ池」(これも早くDVD化して欲しい)の特撮に比べるとなんとはなしに劣るといわれる矢島信男の特撮は、なんだかファンタジーっぽく、そんなにドギツさがないので、本当は幅広い年齢層を狙った大作だったんだな、と思わせます。
主題歌は山崎ハコ。ちなみに、この映画の主題歌「心だけ愛して」や挿入歌「きょうだい心中」、そして超有名な恐怖の「呪い」なんかが収録されている日本最大のホラー音盤「人間まがい」のアルバムが復刻されていないのは悲しい。
とりあえず、女の強さと怖さが強く実感できる作品です。