ノスタルジーでもリメイクでもない現在進行形の計画論を提示している。また東日本大震災以後の現在にあって、新たな意味を獲得している。
震災復興に関する都市・建築計画に見られる計画の硬直化(例えば古びた都市計画の読み直しや日常生活から遊離したマスタープラン、規制の発想から脱することができない建築制限など)と対比すると、とても興味深く、多くの人の共感を得られる論点が提示されている。
本書のなかのそれぞれの提案は、モデルというより試論として読むと、述べられた論点の可能性を探ってみたくなる。試論に共通するのは建築を終点ではなく起点として捉え、建築後に地域−都市へと波及する影響をテーマにしていることであり、このことを現在で建築に取り組む多様な人々の共通理解とすることで、計画と現実との軋轢という無益な戦いが少しでも収束に向かうことを期待したい。
提案の自由さに対比して、デザインについてユートピアのような頼りない印象が残ってしまった点は、逆説的に多くの人に門戸を開く本書の戦略のひとつであるのかもしれない。