客商売でもっとも恐ろしいことは「客を怒らせること」である。「怒った客」は単に二度と来ないだけでなく、知り合い全てに「あそこは良くない」と言いふらし、今の客ばかりでなく将来の客をも減らすからである。多くの客商売で、少々の理不尽には耐えてでも客を怒らせないようにこれ努めるのは、このようなメカニズムによる。
「地域再生」業界でも事情はまったく同様である。しかも、この業界での主たる顧客は自治体であり、これがまた異様に評判を気にする存在なのである。したがって斯界においては「成功事例集」ばかりが跋扈し、失敗事例に関する分析はタブーとなっていた。地域再生について失敗事例がきちんと総括されたのは、評者の知る限り本書が唯一である。
このような本を著せば、確実に「客が減る」。少なくとも「失敗事例」として取り上げられたところから二度と仕事の依頼は来ない。(そもそも、そういう狭い了見だから失敗するのである。)「客商売」のひとつである「地域再生プランナー」である筆者にとって大きなリスクであり、それを冒して本書を上梓された筆者の専門家としての知的誠実に深く敬意を表したい。
そして実際に、この本には地域再生の「リアリティ」が満ちている。全国で「地域再生」や「まちづくり」に取り組んでおられる方々に、ぜひとも読んでほしい。「目からウロコが落ちる」思いを何度もさせてもらえるはずだ。「そうだったのか!」という「気づき」をたくさん与えてくれる良書である。