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25 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自治体よ、物真似の「地域再生」をやめよう,
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レビュー対象商品: 地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書) (新書)
著者が指摘する都市開発の失敗の理由は間違いなく正しい。どれもこれも地域特性を無視した過去の「成功事例」に、上っ面だけ地域性でコーティングしただけの地域再生事業の死屍累々ぶりを本書は描く。本書で例示された宇都宮、岐阜の再開発ビルはオープン後、短期間でキーテナントが撤退した。両市は東京や名古屋に近い。大都市の真似をしても地元民はもどき施設なんか行かず、大都市の本物に行ってしまった、と著者は言う。そもそも、役所やコンサルの紹介する、商店街の「成功事例」というのも実際行ったら普段はシャッター通り。イベントやレトロ風建物で一瞬だけ客足を止めさせてるだけで、本質的な「再生」になっていない。
どんな再開発でも地域の人とモノを最大限に活かす計画でなければだめだ。著者の再生への3つの具体的な提言はどうだろうか。「地元人の交流を生むB級グルメ作り」は何となく分かるが、都心のスポクラ設置は狙って当たった事例はまだない。愛着の持てる公共空間の創出も効果が具体的には見えにくい。もちろん「こうすれば絶対成功する」というプランはありえない。成功事例が少ない時期に冒険しないと先行者利益は得られないし、成功事例が豊富ならよほど特色がない限り先行事例を追い越せない。本書を読んだ自治体関係者は自前の知恵と汗を絞り出してほしい。 役所がどうしようが、金のなるハコを作ろうが、人に愛され、集まり、交流し、より良くしようという場所やモノがなければ街に活気が出る訳がない、と著者は訴える。また、特定の商業施設やブランドグルメだけに補助金を入れても無駄という。同感だ。地域再生に独創性、公益性が必要なこと、前例踏襲の事業や補助金では逆に衰退を加速することは地域の力―食・農・まちづくり (岩波新書)でも論じられている。
23 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
失敗事例の説得力溢れる分析。あえて実名で失敗事例を出した筆者の知的誠実に脱帽,
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レビュー対象商品: 地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書) (新書)
客商売でもっとも恐ろしいことは「客を怒らせること」である。「怒った客」は単に二度と来ないだけでなく、知り合い全てに「あそこは良くない」と言いふらし、今の客ばかりでなく将来の客をも減らすからである。多くの客商売で、少々の理不尽には耐えてでも客を怒らせないようにこれ努めるのは、このようなメカニズムによる。
「地域再生」業界でも事情はまったく同様である。しかも、この業界での主たる顧客は自治体であり、これがまた異様に評判を気にする存在なのである。したがって斯界においては「成功事例集」ばかりが跋扈し、失敗事例に関する分析はタブーとなっていた。地域再生について失敗事例がきちんと総括されたのは、評者の知る限り本書が唯一である。 このような本を著せば、確実に「客が減る」。少なくとも「失敗事例」として取り上げられたところから二度と仕事の依頼は来ない。(そもそも、そういう狭い了見だから失敗するのである。)「客商売」のひとつである「地域再生プランナー」である筆者にとって大きなリスクであり、それを冒して本書を上梓された筆者の専門家としての知的誠実に深く敬意を表したい。 そして実際に、この本には地域再生の「リアリティ」が満ちている。全国で「地域再生」や「まちづくり」に取り組んでおられる方々に、ぜひとも読んでほしい。「目からウロコが落ちる」思いを何度もさせてもらえるはずだ。「そうだったのか!」という「気づき」をたくさん与えてくれる良書である。
23 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ハコよりも、若者に機会を,
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レビュー対象商品: 地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書) (新書)
街づくりは多くの場合、公共事業の一環として土建行政に分類されてきた。
つまり、どこに道路を敷き・どのような建物をつくるかという視点で議論され、その道路やハコの出来具合がプロジェクトの成功であった。結果、最も市民と密接な街が、大規模予算を使ったハコモノ行政の被害者となり、被害者の声が届かないまま、「成功」事例を模倣したハコモノ中心の街づくりが全国で再生産される。 「いい街」とは何か。それは、市民が決めることだ。今いる市民だけではなく、未来の市民(それは子供たちでもあるし、今後移住して来る人たちでもある)も含めて、「いい街」のビジョンをつくらなければいけない。行政がビジョンを持っていない以上、行政が主導して街づくりはできない。 本書が指摘している土建工学者、地域再生関係者、自治体の誤謬は概ね正しいだろうし、事実視察が来るほどの「成功例」が、実は立派な建物を町の中心につくっただけで、最初の1年で賞味期限が切れ、後は高い家賃・固定費に耐えきれず店舗の撤退が相次ぐようなプロジェクトであることはしばしば目にした。そして、地域の若者たちが行政をあざ笑うかのように、その再開発地とは無縁のひなびた裏通りで魅力的なお店をどんどん作って新しいストリート発の文化をつくっている事例も目にした。 ただ、本書が指摘するように、人の意識を変えるのは簡単なことではない。「私益より公益」「経済より交流」も正論ではあるが、私益を求める人に公益を説くより、私益で構わないけれど「公益につながるような私益」を目指している若者を地域でいかに発掘し、どうやってチャンスを与えるのか。全国で問題は喫緊の課題である以上、意欲ある若手(もちろん若手でなくてもいい)がチャレンジする機会にこそ、金とエネルギーが投資されるべきなのだろう。
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