地域活性化のために地域メディアはどのような役割を果たすか。これが本書の問題提起です。
本書では地域活性化を、「人々の生活が、多様性を保全したまま持続可能になること」と定義し、情報技術の有効な組み合わせによる「地域情報アーキテクチャ」を支援に、担い手である編集力、誘引力、中心からずらす力をもつ「地域職人」が地域活性化を果たしていくプロセスを提案しています。その「地域情報アーキテクチャ」こそが地域メディアの一つの形であり、信頼を与える力、誘引する力、共通の言葉と目的に翻訳する力、の3つの力によって機能するとされています。
ただ、前段の定義の議論としては少々抽象的に過ぎ、メインの具体的な地域メディアの事例と率直には結びつきにくいという印象を持ちました(最終章でフォローされているが、それでもわかりにくい)。
地域メディアの具体的事例として、デジタル・アーカイブ・システム、商店街のポータルサイト、地域サッカーチーム、地方新聞が紹介されています。成果をあげているものもあるが、まだこれからという印象が強く、地域メディアが発展途上であることを伺わせます。また、メディアやITに関わると仕方のないことなのかもしれませんが、とても横文字、カタカナ文字が多く、ちょっとしたことでも理解するのに時間がかかることがあります。もう少し一般向けに工夫がしてあるといいと思いました。
抽象的な議論が多く、一般の人には少し読みにくいかもしれません。しかし、一つ一つの事例を丁寧に検討していますし、メディアや情報技術を使って地域活性化をしようという熱意の伝わってくる本です。地域メディアに感心のある人にはおすすめの本です。