無縁社会というショッキングな言葉が、ひょっとすると流行語大賞に選ばれるかも知れない。こうした殺伐とした社会に危惧している人は多いことであろう。この本は、自治会・町内会などの地域コミュニティ組織を、はしがきに記した「無縁社会を地域からつむぎなおす」ための要として期待し、エールを送るとともに地域再生の要諦を提示している。
取り上げた活動事例は、6分野20事例。地域の生活に日ごろから向き合っている組織だからこそできる活動の最前線を紹介する。分野は、「高齢者が住み続けられるまちに」、「地域でともに暮らし続けるために」、「地域の生活環境・防災対策」、「地域の担い手・後継者の発掘と育成」、「組織運営の工夫」、「組織間連携を進める」という地域にとってまさに旬な話題だ。閉塞感が漂う、現状打破のヒントになることであろう。
しかし、コミュニティのあり方が、これまでどおりでよいということはない。たとえば、福祉は高齢者のみが対象ではない。住民全体が対象で、多様な取り組みが求められる。
また、住民は異質な人々の集まりだ。柔軟性と長期的な展望をもち、新しいタイプの住民との交流プログラムをもつことが大切。暮らしの安全・安心は、基本的な課題だが、自己中心的な人が増えている。周囲に目を開いてもらうには、意識改革が必要で、互いに納得できる議論の場と時間が不可欠とする。話し合いを 重視した民主的な取り組みが求められる。
さらに、人材の確保には、充実した活動があることが前提。やってみたいと思う活動が住民の参加を促すとする。情報共有はいうまでもない。国や行政が何でもやってくれる「大きな政府」の時代は終焉した。人と人のつながりや支え愛が欠かせない生活の要請である。
一度失われたコミュニティを再生することこそ難しいものはない。今、取り組まなければならない重要課題である。無縁社会という言葉が、警笛をならしている。