地域活性と言うキーワードが頻繁に聞かれるようになってきたが、どこから手を付けてよいかわからないのが現状だと思う。この本では体系的に整理されており、思考をめぐらせるのに役立った。
まず、第1章では、日本が抱えている問題を統計的な切り口から説明している。経産省、農水省、国勢調査など丹念に調べればわかることだが、日本全体が抱えている問題を俯瞰的に理解するのに役立つ。これから10年、30年、50年後に発生する社会問題がデータを眺めているだけでも想像できる。筆者も言及しているが、「バックキャスティング」(未来を認識した上で、それと異なる持続可能な目標となる未来を想定して、今なすべきことを考える)の視点で、未来の問題についても対処可能だろうと感じた。実際には、長期的かつ大きな問題には、目をつぶってしまうことが多いだろう。しかし、それを解決可能な問題に置き換えて、少しずつ変化させることが可能だと感じた。第2章では、バックキャスティングを現実に行なっている事例が30例掲載されている。変えられないと思ったら、そこで思考が止まる。この事例のように地域で協力し合うことで出来ることが多いことに気づかされた。例えば、統廃合の危機にあった「隠岐島前高校」が寮費、食費を補助し、都会からの留学生を呼ぶ込むことに成功しているなどの事例は、勇気づけさせられた。そして、第三章では、これらの社会問題をどうデザインしていくのかがテーマとなっている。難しいテーマに対して筆者の経験に基づいた紹介は参考になる。一見、結びつかないと思われがちな既存のシステムを異質なコンテンツと組み合わせることで解決された「神戸の防災訓練」の事例は、大変参考になった。防災訓練に興味を示さなかった子供たちにおもちゃ交換会で集客したアイデアは、意外性に満ちている。
今後、日本が抱えるだろう問題に、積極的に手をつけなければならないと強く感じた。