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地図のない道 (新潮文庫)
 
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地図のない道 (新潮文庫) [文庫]

須賀 敦子
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

ヴェネツィアを旅する人のかたわらにこの本は、いつもある。静謐な光を放つ、最後の作品集。

友人が贈ってくれた一冊の本に誘われて、私はヴェネツィアのゲットへ向かった。受難の歴史に思いを馳せ、運河に架けられた小さな橋を渡ると、大阪で過した幼年時代の記憶やミラノで共に生きた若い仲間たちの姿が甦る。イタリアを愛し、書物を愛した著者が、水の都に深く刻まれた記憶の旅へと読者をいざなう表題作の他、ヴェネツィア娼婦の歴史をめぐる「ザッテレの河岸で」を併録。

内容(「BOOK」データベースより)

友人が贈ってくれた一冊の本に誘われて、私はヴェネツィアのゲットへ向かった。受難の歴史に思いを馳せ、運河に架けられた小さな橋を渡ると、大阪で過した幼年時代の記憶やミラノで共に生きた若い仲間たちの姿が甦る―。イタリアを愛し、書物を愛した著者が、水の都に深く刻まれた記憶の旅へと読者をいざなう表題作の他、ヴェネツィア娼婦の歴史をめぐる「ザッテレの河岸で」を併録。

登録情報

  • 文庫: 177ページ
  • 出版社: 新潮社 (2002/07)
  • ISBN-10: 4101392226
  • ISBN-13: 978-4101392226
  • 発売日: 2002/07
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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25 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
今年になって須賀敦子さんの本を続けて読み始めたのだが、文章が本当にこちらの心にしみてくる。かなりひらがなの多い文章だが、心のままを誠実に書いているのがこちらに伝わってくる。

最近はイタリアというとパスタやグッチなどのブランドもばかりに関心が行きがちだが、須賀さんはイタリアの中でもいわゆる負け組(私はこの言葉大嫌いなのだが)の人たち、貧しい人やユダヤ人などに目を向ける。特にこの本ではローマやヴェネチアのユダヤ人と娼婦について語っている。そこらのイタリア本とは一線を画す、すばらしい本です。

このレビューは参考になりましたか?
14 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By biscuit
形式:文庫
「地図のない道」その一からその三、そして「ザッテレの河岸で」と、水の都ヴェネツィアをめぐる四つの文章が収められている。

たとえば、夫の死や家族の病気を経験した著者が、「道を歩いていても景色が目に入らず、意志だけに支えられて、からだを固くして日々を送っていた」時期におとずれたトルチェッロ島。
ヴェネツィアやリド島のかわいた盛夏を通りぬけてたどり着いた古い教会で、著者は聖母子のモザイク画に出会う。
神秘的な静謐にみちているだけでなく、(わたしの読み落としでなければ)ほかの作品ではあまり書かれることのない、著者自身の信仰をかいま見ることのできる美しい文章だ。

「ザッテレの河岸で」は、コルティジャーネとよばれた高級娼婦たちをめぐる、やや長めの随想。
小説的な文体で、テーマの核心にむけ著者が一歩ずつ近づいてゆくさまが描かれる。

「Rio degli incurabili(なおる見込みのない人たちの水路)」というふしぎな文字に著者が目をとめるところから、随想は書き起こされる。
その場所にはむかし、なおる見込みのない病気、つまり梅毒にかかった娼婦たちを収容するための病院があったのだ。
紆余曲折を経て、著者はその病院が形を変え、今もヴェネツィアに存在することを知る。
それらしき建物を探し当て、高い塀の周りを歩き回るが、入口がどうしても見つからない。
とうとうあきらめた著者はザッテレの河岸に出て、ある風景を目にする―

 *

運河と細い路地が入り組んだせせこましい町並みを抜け、河岸に出たときの、ふいに視界がひらけ、同時に心が世界にむけて広がっていく感じ。
そのすがすがしさを、著者は完璧な文体で読む者に伝えてくれる。
これから先、わたしはこのラストシーンを思い出すたびに、できることなら須賀敦子さんの書く小説、あるいは宗教観により深くふれることのできる文章を読みたかった、と身勝手な願いに胸を焦がすことをとめられないだろう。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 
 ユダヤ人ゲット、トルチェッロのモザイクの聖母像、<治療の見込みのない病人>、コルティジャーネ(高級娼婦)、レデントーレ…。
 在りし日の友人たちの思い出に導かれながら須賀敦子が描き出したヴェネツィアは、一般的なガイドブックが伝えるヴェネツィアとは、だいぶ趣を異にする。彼女のヴェネツィアを一言でいえば「深い悲しみと慰めの場所」。じつは、彼女が人生の一番辛い一時期をどうすることもできずに無為に過ごした場所が、ヴェネツィアであった。ここに表象されたヴェネツィアは、彼女自身の心象風景でもある。
 
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