本書は2000年にVantage Pressから出版されたToponymy -The Lore, Laws and Language of Geographical Names-の全訳である。300頁を超える原著を読みこなすのはなかなか大変なことだが,日本語で全文を読めるのだから,まさに待望の書である。著者は20年以上にわたり「地名学」の講義を担当してきた地名の専門家。その論及の深さには圧倒させられる。「地名学」という分野があること自体知らない人のほうが多いであろうが,本書を読めばその科学性に頷けるのではないだろうか。市町村合併などで地名に目を向けることもあるかもしれないが,本書を読めば地名が名称だけの存在にとどまらず,さまざまな事象と結びついていることに気がつくはずである。本書を通して多くの人に地名の価値を再考してもらいたいと思う。