都市の千年の歴史を扱った書籍は、
コンスタンティノープル千年―革命劇場 (1985年) (岩波新書)、「
アレクサンドリアの興亡、
海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)などが著名です。これらの都市は現在でも世界的に有名な都市であり続けていますが、現在のアンティオキアは、大都市とはいえ、トルコの地方都市となってしまっているからか、知名度は今ひとつ。しかし、古代においては、アレクサンドリア、ローマ、コンスタンティノープル、カルタゴなどと並ぶ有名大都市でした。本書は陰に隠れがちなアンティオキア千年の歴史を、典型的なヘレニズム都市としてアレクサンドリアとほぼ同時期に建設されてから、ほぼ同時期にイスラム勢力に征服されるまでを描きます。しかし、いくら古代の大都市とはいえ、ほぼ10年刻みで何があったか判明している、ということは驚きです。「アレクサンドリアの興亡」などを読まれた方にもお奨めです。
ただ、アンティオキアは、中世イスラーム時代以降現在に至るまで繁栄を続けており、中世には十字軍国家が建設されたりしています。イスラームの征服で筆をおかずに、近代まで描いてもよかったのではないかと思います。
白黒ですが、出土モザイクの写真なども収められており、古代地中海世界にご興味のある方にはお奨めです。