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地下鉄は誰のものか (ちくま新書)
 
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地下鉄は誰のものか (ちくま新書) [新書]

猪瀬 直樹
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

東京の地下鉄利用者に長年にわたり不便を強いてきた二重の運賃体系や駅の壁―これらの問題を解消するには東京メトロと都営地下鉄を経営統合するしかない。だが東京メトロは都営を置き去りにしたままでの完全民営化を狙い、国は利用者本位の交通政策よりもメトロ株式上場による売却益ばかりを考えている。真の受益者たるべき利用者のため、東京都副知事が地下鉄改革に向けて立ち上がった。地下鉄一元化に抵抗する東京メトロ・国土交通省との戦いを描く渾身のドキュメント。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

猪瀬 直樹
1946年長野県生まれ。作家。87年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『日本国の研究』以降、特殊法人等の廃止・民営化に取り組み、2002年小泉首相より道路公団民営化推進委員に任命される。07年より地方分権改革推進委員(~10年)、東京都副知事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 219ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2011/2/9)
  • ISBN-10: 4480065962
  • ISBN-13: 978-4480065964
  • 発売日: 2011/2/9
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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63 人中、52人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「進化する地下鉄に更なる進化を」のフレーズは気にいった。

しかしながら、「俺はこんなに頑張った」自慢ばかりで、「なぜ経営統合しないと運賃共通化できないのか」、職員の問題含め「都営地下鉄をどう民営化するのか」(もしくはメトロを都営化する?)、その手法が書いていないのは残念。

都民が求めているのは運賃共通化のはずだが、これが経営統合論にすり替わり、さらには裏側で国交省と東京都の主導権争いになってしまったことは残念。

悪者として叩かれているメトロは、九段下の壁を改装することを最初に提案したり、経営統合せずとも運賃共通化、つまり通算運賃化を提案したが、この点は触れられていない。

内容にも、東京都サイドの依怙贔屓が目立つ。

−都営地下鉄は健全とあるが、資料をみるとIFRSで計算したといいながら、都合の悪い退職給付債務は計算していない。証券会社が実質債務超過といった意味がわかった気がする。

−不動産事業を害悪ととらえているが、それで大損こいているならまだしも、都営地下鉄だって有楽町イトシアに噛んでいるのだから、どうなんだろう。そもそも、都営地下鉄が経常利益をあげたのは関連事業を頑張ったから。さらには毎年多額の補助金も投入されている。

−子会社への天下りに関しても、道路公団を彷彿とさせ「おぉ」と思わなくもないが、一方で、都営幹部が天下りしている協力会とかが入っていなかったりする。

本当に経営統合を狙うなら、逆に、メトロ株を一部売却(支配権は残しつつ)し、そのカネで欠損補てん→財政健全化、民間会計導入で勝負、ってのが普通だと思うが、

同じ東京都のもとにある、「ゆりかもめ」や「りんかい線」(ともに東京都幹部が多数天下り)ですら「統合」していないことを考えると、本当に将来統合して運賃を下げる気があるのか疑わしく感じる。

かつて、昭和37年の都市交通審議会での議論、諸外国の交通連合のようにJRや私鉄も含めた運賃通算化、つまり大合同といった大義はあるのだろうか。

ただ、ミカドの肖像とかぶるものの歴史記述は面白い。

氏が選挙向けパフォーマンスとして、このまま経営統合にこだわって何も変わらないまま時を刻むのか、時計をつくるのか、注目していきたい。

猪瀬ファンはどうぞ。
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 革命人士 トップ500レビュアー
猪瀬直樹 道路の決着」で見せた、当事者であり作家の視点で描くノンフィクションというスタイルで、都内の2つの地下鉄、東京メトロと都営地下鉄の統合を訴えた本。「僕は」が文中に山ほど顔を出す著者・猪瀬直樹は本書のほかのレビューを見ても分かるように、好き嫌いがかなりはっきり分かれる。本書は猪瀬と東京都の主張に沿ったPR本的な内容なので反論も多く出るだろう。それにしても、船曳建夫が「学者のように調べ、作家のように書く」と評した猪瀬の着眼点や調査力、プレゼンテーションは本書でも健在。賛否は別として猪瀬直樹の作品として読むと、一元化交渉の舞台裏や営団の歴史の面白さ、担当副知事である著者が国の化身である悪役・メトロをぶった切るストーリーに魅了される。

冒頭の舞台は、九段下駅の都営とメトロが仕切壁一枚隔てられたプラットホーム。いきなり非常口をぶち開け「こんな近いのに、なんで大回りさせられるんだ」と激怒。そして「儲けを客に還元しないのに、不動産投資につぎ込むな!」「乗り継ぎが高いから遠回りさせられてる!」と吠えまくる。そこで「僕は副知事として、メトロの株主総会に行く」ことに。そこから資料33本を含めた怒涛の猪瀬ロジック。「土地の神話―東急王国の誕生 (小学館ライブラリー)」執筆で培った東急の歴史を紐解き、地下鉄はネットワークが構築されるまで投資が回収できない→だから国と都が補助・支援した→今はもう回収段階→でもメトロは今も国に甘えてサービスが悪い、同じ地域で同じ事業をしてる都営と一元化するのが最良のサービス、とのこと。「でも借金1兆円なんでしょう?」「大丈夫」と言わんばかりに都営の財務体質についても「新規着工はないからメトロと同じく回収段階。収益は毎年右肩上がり」と紙幅を割いて説明している。

都営とメトロの乗り継ぎ料金が高いために通勤で遠回りしたこともあるので、私も乗り継ぎ運賃値下げや乗り継ぎ経路の短縮化はしてほしい。本書の言うように経営統合しかないのか判断はつきかねるが。メトロが現行体制を維持したいならちゃんと反論してほしい。何の理由で乗り継ぎに不便を強いられるのか、今のままでは利用者として猪瀬の言い分を聞くしかないだろう。
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58 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 濱哲
  国鉄の初乗り運賃が10円だった頃、高田馬場⇔西荻窪間30円をときどき利用していた(地下鉄東西線はなかった。ちなみに当時『営団地下鉄』は、銀座線と丸の内線しかなく全線1区25円だったと記憶する)が、あるとき、西荻窪⇔中野間が10円、中野⇔高田馬場間も同様10円なのに気付いた。試しに、いちど中野駅で途中下車してみたら、本当に通し運賃20円で済んでしまった。おそらく距離で計算した小数点以下を4捨5入して運賃を算出していたからではないかと思う。
  ところが東京の地下鉄たるや、真反対に、たとえば現在の『東京メトロ』なら、初乗り6キロまで160円から始まって段階的に28キロ以上300円というかたち。経営の異なる事業主体の路線に乗換えると、そのつど乗車距離と関係なく、「初乗料金」なる不可解な特別料金が加算されて、近距離でも民鉄⇔都営⇔メトロと乗継いだりすると、途方もなく高額の運賃を乗客はむしり取られる、あたかも遊園地のアトラクション・ビークルのごとき料金体系になっている。
  その『東京メトロ』が莫大な営業利益をあげつつ近々の株式公開を目指しているという。
  しかし、大半が国民・都民の共有財産である道路敷の下に建設された地下鉄のような公益事業が、なおかつ大きな利益をあげているのなら、当然、その利益は、まず乗客に還元されるべきだし、民間企業なら道路敷の使用料(適正な固定資産税)を道路所有権者の都・国に払って利益還元すると言う順序になるべきが筋ではないか。株主(国、都)利益など最後に廻して十分。『東京メトロ』の資本金に対する配当率なんと14%だと。鉄軌道のごとき地域的独占を認められた公共事業なら、たとえ私企業の経営でも、普通は5〜6%程度が適正な配当水準というもの。
  おまけに、国土交通省の官僚や旧営団幹部らが、民営化企業体『東京メトロ』に経営者として乗込んで営業利益の独りじめを図っている(NTT株で味をしめた株式公開時の創業者利益が狙い?)と指摘する。これでは共産党官僚らが民営化利益を独占してしまった旧ソ連や中国の国有企業民営化と何ら異なるところがないとの批判になる。
  筆者も、そこまでは、本書、猪瀬氏の『東京メトロ』批判に大いに賛同したいと思う。
  が、しかし、本書中で展開している猪瀬氏のロジックにも大きな難がある。
  氏が『東京メトロ』を批判するのと同様の問題は、少なからず『都営地下鉄』にも当てはまる問題(4キロ未満170円〜28キロ以上410円。同一経営の都営地下鉄から都電、都バスに乗換えても通算割引きはなく、乗換えのたびに初乗運賃をとられる)ではないか。
  どうして、ことが『東京メトロ』と『都営地下鉄』の企業統合だけに話が止まってしまうのか。
  なぜ、たとえば「パリ市」のような運営方式にして(メトロ2社、国鉄1社、ほかにパス会社40社ほどの運行企業が運賃共同体を組んで相互リンク制になっている)、乗客に利益を還元しようと考えないのか。「パリ市」の場合、どのコースを経由しても2点間は同一料金だし、地下鉄からバス、バスから地下鉄に乗換えても乗車賃は通算制で「初乗運賃」加算などない(ただし、規定時間以内という制限はある)。
  なるほど、「JR東日本」まで含めるとなるとエリアが広大すぎて難しいかも知れない(不可能ではない)。しかし、東京近郊民鉄までの範囲なら、東京区部を一体とする料金徴収システムを設け、運賃をゾーン制に組替えるのは困難ではないはずだし、まして現在はICカードの時代であって、「パリ市」で60年前に出来たことが今の「東京都」で出来ないはずはない。
  なにゆえ、路線を保有する各企業に列車運行を任せつつも、乗車賃を一体系化している仏、独など西欧の都市交通運営スタイルを追求しないのか。最低限度、まずは都営地下鉄と都電・都バス運賃の一通化くらいは実現してもらいたいもの。東京都独自の判断で、いますぐにでも実現できることではないか。
  残念ながら、猪瀬氏の観点は、一見、乗客の不満を代弁しているようでも、およそ場当たり的な思付きの羅列にすぎず、勉強不足。また、都交通局側の都合に統合の利益が偏りすぎている(『東京メトロ』の利益を『都営地下鉄』の借金返済や新線建設、運賃値下げに充当するつもりか?)。
  これでは目立ちたいだけが狙いの田舎芝居というほかはなく、本音のところは都知事選向けの話題づくりが狙いではないのかと勘繰りたくなる。
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