テクニカラーの独特な、60年代特有のいくぶん厚ぼったいような色合いがデジタルリマスターしてあざやかに蘇った画面に映えます。昔テレヴィの画面で観た時と較べても大変綺麗な画面に感じます。昨年ボックスセットのみの仕様で発売されたものの単品では欲しくても買えず、残念に思っていたので1年待たされたとはいえ単品で購入する選択肢が出来た事はほんとうに嬉しいです。
物語で描かれるパリは現実のそれとは位置関係や場所の名前などにおいてわざと曖昧に、でたらめにされることで虚構の、おとぎ話の世界の中のようなパリの楽しさ。またこんにちのそれよりいくぶん清潔な、「古きよきパリ」という感じがしました。ザジの騒々しい冒険も、明るい昼間のあやしいおじさんとのおいかけっこ、エッフェル塔を上ったり降りたりの珍道中を経て段々夜になって次第に現実とも夢の中ともつかないような怪しげな世界へと広がりを見せていきますが、映画が終わっても賑やかな周囲の人たちがいつのまにかぱっと煙の如く霧散していくような鮮やかな余韻がしばらく残りました。
なお予告編映像のなかにおいてパッケージ写真にも使われているのと同じ、ザジがブルーの上着を着ていたりと本編に使われていないアウトテイク(もしくはリハーサル?)のカットを目にすることができます。