登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
28 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
19世紀のひきこもり文学,
By
レビュー対象商品: 地下室の手記 (新潮文庫) (文庫)
地下室にこもった男がぶちまける手記という形をとった、19世紀のひきこもり文学。
ドストを読んでいていつも驚くのは、この弁舌、人の心の描き方。 ここまで激烈でなくても、主人公のような心情におちいったことのある人間は、けっして少なくないだろう。 ニーチェや太宰と同じ系統の、非常に感染力の高い本だと思う。 主人公ネクラーソフ(名前までが冗談めいている)は、激烈な自尊心と、同じくらい激しい自己卑下の心を持ち、世界と相容れない理由を必死に弁明しようとする。 世界が悪いのか、自分が悪いのか、それともどちらでもないのか。 この、誰でも一度はぶつかる壁に、本書はひとつの思考の結末を提示している。 世界は悪い、自分も醜悪、だからひきこもる。 人間は矛盾に満ちている、という話。 2+2=4の世界に怒りをぶつけ、醜悪さを露呈したがるその心。 「自分が茶を飲めるならば、世界など破滅してもかまわない」という、ある意味極論の名言が印象的な本。 ドストの作品の転換点と言われる本書は、ドストの歴史の中の位置づけから見てもおもしろいが、単体のひきこもり文学としても、じゅうぶんに読む価値がある。
36 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「悪魔的な絶望」の具現化…,
レビュー対象商品: 地下室の手記 (新潮文庫) (文庫)
私はこの小説の内容を、以下に紹介する文章以上に的確に表しているものを知らない。それはこの小説の出版より15年も早く書かれた、キルケゴールの著作の中に見られる。「……この絶望は、人世を憎悪しつつ自己自身であろうと欲するのであり、自分の惨めさのままに自己自身であろうと欲するのである。 この絶望は、反抗して、あるいは反抗的に、自己自身であろうと欲するのでもなく、反抗のために自己自身であろうと欲するのである、それは自分の自己を、それを措定した力から反抗して引き離そうと欲するのでもない、それは反抗のためにその力に迫り、その力に挑戦し、悪意をもってその力にしがみついていようと欲するのである……それだから、彼は自己自身であろうと欲し、自分の苦悩をひっさげて全人世に抗議するために、苦悩に苦しむ自己自身であろうと欲するのである。」 この小説は、ただの負け犬の言い分を描いたものなどではない。ここには神学論議にすら発展しうるだけの深刻な問題をも含んでいる。主人公はそもそも、いわゆる世間的な「成功」といった価値を信じることができない人間なのだから、「負け」も「失敗」もない。いみじくもキルケゴールが言ったように、「反抗」以外に何も持たない人間なのだ…。 …このように書くとこの小説のことをムズカシク感じてしまうかもしれないが、そう気構えて読む必要はまったくない。ドストエフスキーは芸術家としてもやはり超一流なので、まずはこの作品をどっぷりと味わって欲しい。前半部の、五十頁にわたって綴られている主人公の独白は、人によってはやや退屈に感じるかもしれない(だが内容は興味深い)が、後半部の回想話におけるドストエフスキーの筆致は凄まじく、私は初めて読み終えたとき、この迫力ゆえにただただ呆然としてしまった。ぜひぜひ一読を薦めたい。
25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
短さに騙されてはいけません,
By
レビュー対象商品: 地下室の手記 (新潮文庫) (文庫)
彼の作品としては短い作品ですが、これに騙されてはいけません。中身は非常に濃い作品です。濃いだけでなく非常にわかりにくく矛盾した作品です。何度読み始めて途中で投げ出したことでしょうか。恥ずかしながら購入してから読み終わるまで10年以上かかリました。なぜこんなにわかりにくいかというと、ここにはその後のドストエフスキーの大作のテーマが凝縮された形でちりばめられているからです。また作品自体が、当時の合理主義エゴイズムのチェルネイシェフスキーへの論駁という形を隠喩として取っており、このロシアの1860年代のイデオロギー論争についての知識がないと、なかなかこの作品を十分に味わうことは難しいからです。そしてお決まりの当時の検閲により、ある部分が改変を余儀なくされており、結果として、ますます、この作品をわかりにくくしているからです。もしこの作品がわかりにくかったらぜひ、Joseph Frankの”dostoevsky: The Stir of Lieberation, 1869-1865"を読んでください。これは、この作品の素晴らしい解説と批評になっています。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|