この作家さんが好きか、ときかれたら、ワクワクしながら、胸のなかの小さい宝物を思い出すような気持ちで、「はい」と答えると思います。
ではこの本の感想はどうですか、ときかれると、「うーん、わかりません」になってしまう。
この本は「庭」をテーマにした作品集で、その庭の絵は、絵そのものの美しさもすばらしいですが、庭から立ちのぼる抒情がどの作品にもあって、「これを漫画に描ける人はそんなにいないだろう」という気がします。
けれど、この本の、全部のおはなしが好きかと考えると、残念ながら、そうではないんですね。冒頭の「五月の庭」、あとがきの「城間くんのドキドキ対局日誌」「単行本できたよまんが」「この本は庭をテーマにした本」「いつかは行ってみたい世界のおにわ!」がなかったら、たぶん買わない、という気がします。
他の作品の質が落ちるということでは断じてなく、49歳という私自身の年齢が、他作品を純粋な気持ちで読むじゃまをしてしまう気がします。
(この年になると、たぶん「死」とか「トラウマ」とか「将来の不安」とかがテーマになった作品と向き合うのがこわいのです。)
ただ、先に挙げた作品はとても好きなので、この本に星をつけるときどうすればいいのか、とても困ってしまいます。
特に、オバQみたいなキャラクターを自画像にしたエッセイ風あとがきは、「こればっかりを一冊読みたい」と思わせる、ちょっとシュールな、センスの良い作品です。私はこの人の、同人誌作家っぽいところが、好きなのかもしれないです。
他のひとの感想がどうなのか、すごく知りたいです。(私の感想は、ぜんぜんまとをはずれたものかもしれないし…)
「ボマルツォの怪物庭園」は、私も見てみたくて、(ほとんど廃墟化しているらしいのですが)テーマにした写真集を探してみるのですが、まだみつけていません。ハーバートリストの写真集は「イタリー」で、それのみ、というわけではなさそうですし…。しぶさわたつひこの河出文庫で、マンディアルグの「ボマルツォの怪物」というエッセイを訳したものを読んだことがあります。(けっこう、それはグロかったです…)
しぶさわたつひこ自身の怪物庭園の紀行文が、河出文庫の「ヨーロッパの乳房」という本にのっているらしいのですが、あいにくそちらのほうは未読です。