島田清次郎については、以前、神田の古本市で立ち読みして以来気になっていたのであるが、とうとう購入して読んでみた。20歳で書き上げた本だというから、自分が20歳であったときのことを思い返して(私は37歳です)読んでみたが、なんと早熟な人であろうか。廓で育ったという境遇からも、虐げられた立場の女性への観察眼や、男性の権威欲への考え方などが子供の頃からいやでも早く生成されていったのであろう。こうした特殊な境遇ならではの作品であると思う。この本を出して、ベストセラーとなった後のことは彼に関してはいい噂は全くないが、それは、この本を生むためだけに生まれてきたような魂のこもった作品であるがゆえんでしょうか。最後のページでの主人公の言葉には、今の時代も心を熱くさせるものがあると思う。