5年ほど前、バングラディッシュのダッカに仕事で訪れたとき、道路の脇にビニールシートにくるまれた”何か”を見つけました。風にそのビニールシートがなびいたとき、その中に人間が四人くるまれているのがわかりました。みんな真っ黒で男女一人ずつに二人の子供・・・家族のように見えました。ピクリとも動かず、世界を知りたくて飛び出したはずの私は、その場所に近づけませんでした。周りの人々も、まるで”見えない”かのようにその場を通り過ぎていました。
私はその後もアジアを仕事で巡りましたが、ついにその深淵をのぞく事ができませんでした。私にはそれほど異質に見えたから。その答えの一端をこの本は教えてくれます。
本書の内容はふんだんに写真を使いながら、その写真の背景を説明する形で進んでいきます。私は”絶対貧困”や”レンタルチャイルド”も読んでいますが、写真の中にはそれらの書籍に既出のものもあります。しかし、より大きく、またカラーで載せられているものも多く、前述の書籍を読まれた事がある方にもお勧めだと思います。
人は未知のものに恐怖します。この本はその闇を見る為の手助けをしてくれました。我々がどのような世界の中で生きているのか、我々はどこにいるのか、氏の書籍は世間知らずで臆病者の私に、そんな世界を教えてくれています。私が深淵の闇だと思っていたものは、そうではないのかもしれないと考えさせられました。