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地の果て 至上の時 (新潮文庫)
 
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地の果て 至上の時 (新潮文庫) [文庫]

中上 健次
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

異母弟殺しから三年──。大阪での服役を終え、竹原秋幸が紀州・新宮へ帰ってきた。
土地開発により、すっかり変わり果てた郷里の町で、幾多の噂にまみれながらも一代の分限者として君臨する「蝿の王」たる実父・浜村龍造が、血の宿業で結ばれた秋幸の帰還を待ちうける。
生まれ育った「路地」の消滅、掘り返された土地に野火のように広がる男たちの熱狂と、女たちの信心……。
重層的に響き合う物語の呼び声を背景に、父と子の葛藤を根源から照らし出した中上健次、結着の書。「岬」「枯木灘」と三部作をなす“秋幸サーガ”の最高到達点。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

腹違いの弟を殺害した罪により、大阪で服役していた竹原秋幸が、三年ぶりに故郷に帰ってきた。しかし、その紀州・熊野の地にも都市化の波が押し寄せ、彼が生まれ育った「路地」は実父・浜村竜造の暗躍で消滅していた―。父と子の対立と共生を軸に、血の宿命と土地の呪縛が織りなす物語を重層的な文体で描く、著者渾身の力作。『枯木灘』『鳳仙花』に続く紀州神話の最高到達点。

登録情報

  • 文庫: 616ページ
  • 出版社: 新潮社 (1993/07)
  • ISBN-10: 4101274037
  • ISBN-13: 978-4101274034
  • 発売日: 1993/07
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 127,333位 (本のベストセラーを見る)
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最も参考になったカスタマーレビュー
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
「岬」「枯木灘」と読了後に本作を読了したのだが、そのパワフルな表現力と中上のコアからあふれる表現衝動が最高の融合をみせた本作は秀逸以外の何者でもない。〜中上は自分の出自を明らかにし
その場を「路地」と表現して、そこにまつわる自我の混沌と戦い続けた。それを表現化する過程の苦しみは想像を絶するものがあったと思う。〜本作は「枯木灘」までにあった「小説のあるべき形」に収めようとする完成度の問題から表現しきれていなかった、血脈の重層性を見事に小説に昇華し、そのコアからあふれ出るエネルギーはこれ見よがしからも遠く、うとましいメッセージ臭からも遠く、見事に構造化されながら中上の本質を具象化に成功している。〜ネタバレになってしまうので記載はしないが、ラストの描写に現れる男たちのエネルギーの表れに、僕は終わる事のない果てなき魂の叫びを感じ、単なる読書、ではなく「この本を読む間この本と一緒に生きた」という深い充足感を得た。〜うそ臭さからほど遠い本物の「表現者」だった中上に深い追悼を述べたい。
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By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:ハードカバー
 例えば、国籍決定を巡る法律論に血統主義と属地主義があり、そしてナチスが「血」と「地」をスローガンに掲げたように、人のアイデンティティの根源にはこの二つがある。中上の生まれについては省略するが、「竹原秋幸」という別人格を作り上げることに成功したことにより、中上は自らの「血」と「地」を対象化しつつ、私小説のネガそのもののような存在に作品(=それは作家・中上健次というペルソナ自体も含む)を昇華することに成功する。

 舞台が作家の生まれ育った「紀州」の「路地」であることは当然として、登場する血族の男達が土木業か森林伐採業の人間ばかりであることにも、必然がある。(彼らの生活を通して、紀州の山深い土地の自然が描き込まれる。)本作ではこのような「地」と「血」の乾いたドラマに、「水」と「火」が重要なモチーフとして強調され、更に浜村孫市伝説に関わる「銃」がストーリーをドライブさせていく。29歳の成人男性として故郷に戻った秋幸が、実父及び腹違いの弟と近接して生きることを選んだが故に、最初から最後まで、いつ父と子(達)の殺し合いが始まるかという緊張感がずっと途切れない。(実父への理解と殺意の間を往復する秋幸の心理描写もお見事。)こんな長い小説なのに、全く緊張感が途切れることのない筆力は驚嘆すべきことだが、同時に何気ない設定や描写に緻密な計算が込められている点にもびっくりする。作家が我が身を削り、血を流しながら書いた大作にして傑作。絶対に、「岬」「枯木灘」の後に読むことをお勧めする。

P.S.
 「岬」「枯木灘」と本作はよく「秋幸三部作」と言われるが、中上の「紀州サーガ」はこの三作だけだと勘違いしたようなレビューがネットで散見される。実際は「枯木灘」と本作の間に、秋幸の実父・浜村龍造の「事件」後の慟哭を描いた「覇王の七日間」という短編があって全集に収められている他、秋幸の母・フサの人生を綴った「鳳仙花」などの関連作品もある。合わせてじっくり読んで頂ければ、更に味わいが広がるだろう。
このレビューは参考になりましたか?
15 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Sato
形式:文庫
この作品は、「岬」「枯木灘」に続く、竹原秋幸を主人公とする三部作の完結編として知られています。意味が常に主人公の側にあるまま迎える結末が、最初は意外でしたが、しかし、改めて考えると、そうするしかなかったような気がし、説得力のあるものとなっています。そのテーマについては、数多くの評論文が世の中に出回っており、この作品もまた優れたものであることは云うまでもありませんが、それ以外にも、中上健次氏の卓越した感性による描写がちりばめられています。例えば、「そこを抜けると杉を最近伐採し新たに植苗し終えた斜面に出た。どの程度の杉を伐ったのだろうかと考えて切り株を見て歩き、丁度斜面の地肌に突き出した岩の間に根をおろしていつのまにか岩を二つに裂いたような大きな切り株があるのを見つけた。切り株の上にのぼって見ると秋幸の腕二かかえでも利かぬ大きさで秋幸は年輪を数えて見た。九十五まで数えて止めた。秋幸は不思議な気がした。確実に九十五年以上年輪の数だけ前に人の手がその杉を植え、杉は生長しつづけてまた人の手によって伐られた。秋幸は切り株を見つめ、岩をまで裂いて根を下ろして生長しつづけて伐られ今は朽ちていくしかないものに畏怖のようなものを抱き、せめてその岩の裂け目に出来た根だけでも慰めてやろうと根と岩の間を石でふたいだ。」(本文から引用)という部分だけでも、自然とともに育ったものなら誰でも持つであろう感覚がとても強く呼び起こされ、中上健次氏がこの感覚の描写という面までも、後続の作家たちから全て奪ってしまったような気がします。前二作品からの続編ですので、前二作を先に読むことをおすすめします。
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