ぼくの大好きな文芸評論家、北上次郎が「これは日本人全員の必読に値する国民的大河小説だ!」と大絶賛している「流転の海」の第2部である。松坂一家は、伸仁の父親である熊吾の故郷、愛媛県の南宇和に母子の健康のことを第一に考えて、それまでの事業をたたみ、戻ることになる。そこで伸仁が4歳から5歳になるまでの1年間が丹念に綴られている。第1部では赤ん坊であった伸仁が腕白小僧になっているのがとても微笑ましい。本書の白眉は熊吾の想念である。彼はいろんな人物と邂逅し、さまざまな出来事に遭遇する。そのたびに彼は深く考えるのである。その思考の経過が素晴らしい。読んでいてううむ、と唸らされつつ、共感し、オノレもかくありたいと思わせるのだ。それでは引き続き第3部「血脈の火」を読みたいと思う。