立ち読みであっという間に読めてしまいます。イカルスの墜落を思わせる題名の与える印象とは違い、もっと地味なバランスの取れた(しかしもう何度も繰り返された)議論が展開されている作品です。したがって新味はありません。JALについてのこの種の本は10年周期で出ているような記憶があります。組合問題、経営陣の内紛、不思議な従業員のプライド、無意味な多角化戦略、どれももう20−30年以上も前から言われている問題です。というわけで、JALについての素人以外の方にはあまり読む必要もない本です。つまり学生向けの本です。というのはJALは学生の就職の人気では依然として上位に位置するそうです。私はJALの問題よりも、むしろそのような学生の「無知」の思考回路の方に興味があります。著者が指摘するとおりジャンボ機の導入(1970年前後)と共に「JAL」の栄光の時代は終わっていたのかもしれません。そこから後はブランドの食いつぶしだったのでしょう。問題の所在がわかりながら解決できないというのは不思議な構図ですけど、何もわからない能天気な学生と昔の鶴のマークに郷愁を持つ団塊旧世代のおやじの存在が、この問題の解決を妨げているのかもしれません。というのは「抜本的な」解決は、必然的にこれまでに作り上げられた「JALのブランド」へのダメージを伴うものだからです。