筆者は日米同盟について精力的に取材を行っているジャーナリストである。本書は膨大な取材や書物などを駆使して在日米軍の今の姿を浮かび上がらせることに成功している。最近の普天間基地移設問題もあり、在日米軍の存在については多くの日本人が意識しているが、実は在日米軍が米軍全体の中でどのような位置づけにあるのか、何をしているのか、自衛隊とどのような関係を持っているのか、ということについては意外なほど知らない。本書を読むと、在日米軍司令官には実は作戦権限は無く、作戦権限はハワイにある太平洋軍司令官にあることや、自衛隊との関係も、防衛省・自衛隊が在日米軍の頭越しに国防総省や太平洋軍と話をしたがるために微妙であることが書かれている。さらには在日米軍をめぐる米軍の中の軋轢、特に軍種間の縄張り争いについても良く取材されている。日米同盟というと、どうしても我々は首脳同士の会談や外交官同士の交渉などを思い浮かべてしまうが、米軍の出先機関である在日米軍との関係が日米同盟を維持する上で避けては通れないと本書を読んで感じた。