戦後補償裁判や在日外国人の権利保障に関わっている、1937年生まれの日本アジア関係史研究者が、入管法改正直後の1991年に刊行した本を、1995年に改訂したもの。戦前の日本は、貧しい自国民を多く海外に送り出す一方、植民地住民を日本に来住せざるを得ない状況に追いやった。しかし、日本は敗戦に伴う植民地放棄の中で、同じ帝国臣民だったはずの在日朝鮮・台湾人から一方的に日本国籍を剥奪し、以後法律に国籍・戸籍条項を付けることにより、彼らの権利を制限した。その結果、諸般の事情で日本にとどまることを余儀なくされた在日朝鮮人・台湾人は、戦犯としての処罰や納税義務は課されながら、社会保障(161頁参照)や戦後補償(106頁参照)や参政権からは排除され、指紋押捺や外国人登録証明書の常時携帯が義務付けられ、就職差別を受けながら暮らすことを余儀なくされた。しかし、国際社会からインドシナ難民の受け入れを要求された日本政府は、難民条約の批准等を契機に、在日朝鮮・台湾人を含む在日外国人の人権に配慮せざるを得なくなり、国際化・グローバル化の流れがそれに拍車をかけた。1995年現在、在日外国人への差別は徐々に改善され、民族名を名乗ることも許され、在留資格も増加し、永住者の指紋押捺は廃止されたものの、未だ他国に比して彼らの権利が非常に制限されたままであり、ニューカマーの受け入れ体制も整っていないことは明らかである。著者は自己の体験を踏まえつつ、具体的な事例や豊富な数量データを挙げて、在日外国人をめぐる歴史や現状、その課題を論じ、地球全体を視野に入れつつ、「共に生きる社会」を目指すことを主張する。著者の論述は具体的かつ明晰であり、在日外国人に関わる主要な論点がコンパクトに整理されている。2008年現在、データはやや古びているが、この問題に関心のある人には是非一読をお勧めする。