小学館文庫の土門拳「古寺を訪ねて」第二巻、薬師寺・唐招提寺と飛鳥の里と寺院・室生寺の仏教芸術と自然、それらにまつわる、土門拳の手になるエッセイを収めた一冊。第一巻と同様の構成で、巻末にはこの巻では土門拳の奥さんの土門たみさんの解説と、各種資料を収録している。
酒田の土門拳記念館で見た中で一番強い印象を受けた聖林寺の十一面観音像がこの巻に載っていて、今見直してみても迫ってくるなにものかがある。関連のエッセイを読んでみるとなにやら複雑な由縁を持つ仏像のようで、それを読んだ後で見直してみても不可思議な魅力がある。室生寺の十一面観音も実に良くて、十一面観音という存在には何か惹かれる。
もちろん他の写真も全て魅力的だし、土門拳自身のエッセイもその写真に通じる率直さと力強さがある名文で、巻末のたみさんの談話もご夫婦の人となりが伝わってくる。また機会を作って土門拳記念館にいってみたい。そんな気も起こってくるいい著書だった。