大好きな小説、少女マンガ、映画について、軽やかに語る恩田さんのエッセイ集。3部からなる構成です。
「'1.面白い本はすべてエンタメ」「'2.少女漫画と成長してきた」「'3.暗がりにいる神様は見えない」
1.面白い本はすべてエンタメ
カバンに本とぐいのみを入れて
旅行で読書。それについて熱く語りますね〜。
途中から奔流のように本のタイトルがあふれだして、語るスピードもUP。紀行文やブログ本、ホラー、ミステリ、
旅する哲学にいたるまで。
ケレンと様式美、スター三島に酔いしれたい。
三島由紀夫文学の様式美とその台詞まわしに「胡散臭い虚飾の匂いのする」という表現がいいですね。三島に関係なく
すごく気になったのが、恩田セレクトの「一見上品なふりをしているが本当はスケベな世界文学」(笑)
日本勢はいいとこいってるらしいですよ。
その上位にはいるのが「憂国」。
最後に「春の雪」をはじめとする「豊穣の海 4部作」についていわく「三島はぎりぎりフラワー・チルドレンに間に
合ったということになるのかもしれない」にはまいった!
三島、草葉の陰から「ちょ、違うし!」と叫んでいるかも(笑)
挿絵の魔力
これには大いに同感!
ここに挙げている本、読んだものに関してはもろ手を挙げて賛成です。
子どもの頃に読んだ絵本、本たちに添えられている挿絵。秀逸なものは本文と分かち難いイメージを読者に与えるものですが、
その記憶に残る挿絵でも、どういうわけか、ダークな画調のものに惹かれたという。
2.少女漫画と成長してきた
このへんは、まさに精神的故郷についての記述だけに、共感することばかり。
少女マンガとともに成長してきた世代。それも少女漫画自体が大きく変貌をとげ、成長した時代を体験した世代だけに、
思い入れもたっぷり。
篠有紀子、おおやちき、清原なつの、そしてアラベスクの第2部についての記述がおもしろかったです。
3.暗がりにいる神様は見えない
米国ドラマ「24」にはおはなしの神様がいない、という意外に思える新説からはじまるこの章。
面白かったのが「うろ覚えの恐怖」というところ。
私が恩田作品に感じる一番の魅力は「恐怖」ではないかと思っています。グチョグチョどろどろの海外ホラーもいいけれど、
恩田作品の「こわい」には何か他の味わいが含まれているのではないでしょうか。
「月の裏側」に感じる怖さとノスタルジーの融合。「ユージニア」の「恐ろしい真相」の周りをぐるぐる回り続けるような幻惑感。
モダン・ホラーは面白すぎて怖くない、というのも頷けるところ。
「本来、ゴースト・ストーリーは地味でそっけなく、隙だらけでカサカサしているのである。」
「何より私は『今にして思えば』や『誰かに聞いた話なんだけど』というフレーズが怖いのである。」
恐怖について語る恩田陸は、本当に怖いです(笑)
恩田さんのエッセイ、とても面白く読んできましたが、この本も前2冊とは違った切り口でとても楽しめました。
恩田さんの知識にも驚嘆しますが、なにより恩田陸の本への愛がびんびん伝わってくる作品でしたね。