あなたにとって憂鬱の象徴は何か。もしあなたがサラリーマンだったら、口うるさい上役の課長の存在といったところか。村上春樹の小説・「ノルウェーの森」の主人公・ワタナベ君だったら、キズキの死の際に、警察の取り調べ室の机の上でみかけた分鎮こそ、その正体である。この憂鬱がパノフスキーにとっては土星だった。だから憂鬱なんてどこにでもある。難解な本書を読んで疲れた後は、「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本を読むことをお薦めする。パノフスキーのいうヨーロッパの憂鬱(メランコリー)が、日本ではどうなっているかが、17世紀のオランダの画家・フェルメールを仲立ちにして語られている。どちらの本を読んでも、あなた自身が憂鬱にならないように?