息子の襲名披露公演の只中に白血病を告げられる。
そこからの生還の記録だが、単なる闘病記ではない。
治療と並行して、歌舞伎役者としての活動もしなければならず
その記録でもある。
芸能人の本というと、ゴーストライターが書くものが多いが
これは、多分、当人が本当に書いているのではないか。
自虐的な記述がけっこうあり、
こういうのは当人でないと書けないように思う。
白血病は、有名な病気だが、身近ではない。
だから、実際にどんな病状で、どんな治療法があるのかは
まったく知らなかったが、患者の視線で、実に分かりやすく書かれている。
もっとも、いったい、こうした治療にいくらかかったのかは書かれていないので
はたして一般庶民が、こんな治療を受けられるのかどうかは、よく分からない。
歌舞伎役者の日常の記録としての部分も
実に面白い。
海老蔵との父子関係も、その距離のとりかたに
互いに戸惑っている様子が窺える。