国際NGOや国連PKOで活躍されている著者の経験を拝聴できる貴重な書籍です。
文章は、明解であり、著者と編集者の頭脳明晰を物語っています。難しい問題
を扱うので、肝心なところで曖昧になっていくのはやもうえないことでしょう。
本書の論点は主に二つあります。一つは貧困バジネスの懐疑的な側面。
もう一つはよりよい国際貢献とは何か?という問いかけです。
貧困ビジネスの話は筆者の実体験に基づいているので迫力があります。
タームをつくり幻想をいだかせビジネスにするやり方の懐疑的な側面を、
かぎとる嗅覚が必要とされています。
社会的活動には必ず裏と表があります。表しか知らな
いのは不幸の始まりです。本書はある一定の読者にたいしては、物事に裏があ
ることをきづかせてくれる良書と言えるでしょう。
国際貢献は何かという問いかけに対しては、本書はすっきりとした回答は与えません。
欧米諸国において国際貢献は、植民地が崩壊したあとも残る利権の確保と、
欧米スタイルの生活を未開の地の方々に享受させてあげるという募金者の自己満足に
支えられていのだとしています。
本書では言及していませんが、
日本に募金文化がないのは、そういう歴史がないからだと感じました。
国際貢献が国益に基づくことを考えれば、これを組織的かつ効率的に行うこと
はとても大切なことです。ではどうすればいいのでしょうか。回答は得られません。
世界益という次元も、建前としては必須ですが、
世界益とはいったいなんなのかという出発点において、
十分な考察がなされておらず、迷走を重ねる国際社会をどう考えたらよいのか、
回答をえることは難しいようです。
巨大な官僚組織である国連のガバナンスはどうなっているのでしょうか?
本書は、国連をありがたがることのバカらしさを感じさせてくれます。
本書を通じて感じるこのは、筆者のエネギーです。
人生をかけて、得たいの知れない目標に向かって、つきすすんでいます。
著者自身どこにむかって走っているのかわからないのかもしれません。
文章化にあたってはライターさんがかなり手を入れていると最後に書いて
ありましたので、この疾走感はライターさんの手腕なのかもしれません。
国際貢献の裏側を紹介していただきましたが、
もう少し本書の裏話を聞いてみたいという気持ちになりました。