米国における日本人弁護士の活躍を描いたものである。
本書は、日本の弁護士資格を持つ筆者が、日本を飛び出し、米国で弁護士事務所を構えて、苦労しながら米国の弁護士資格も取得しつつ、日本企業関係の法律事務に関する体験談を綴っている。日本と米国の法制度、裁判制度の相違点の描写は新鮮である。米国で活動する日系企業関係者には、米国の基本的な法制度の解説書としても非常に役に立つと思う。記述が制度を説明するための教科書ではなく、筆者の体験談であるため、米国の法制度の素人でも読みやすい。また、随所に日本企業が米国において陥りやすい過ちが記されており、企業戦略を立案する企業経営陣や法務担当者等への実体験に基づく著者からのアドバイスとなっている。
時折、日本の報道機関でも取り上げられる「クラス・アクション」や「フォーラム・ショッピング(法廷地漁り)」「パテントトロール」などについても、解説がなされており参考になる。
米国の法廷闘争では、実質的な争点を論じ合うより、手続き面の争いが非常に多い。判決までもつれ込むのは、全米の訴訟全体で4%とも言われている。本書の第12章では、法廷における手続き上の争いが詳しく描かれている。最終章では、最近、日本でもマスコミに取り上げられる機会が多くなってきたプロノボを取り扱い、筆者の米国におけるプロノボ活動が記されている。
また、米国の法制度の専門用語については、その説明が繰り返し本書の中で示されており、米国の法制度に馴染みのない読者にも読みやすくできている。米国の法制度に関心がある方にはお勧めの一冊である。(2010/12/31)