原田さんは、国際規格作成で数々の実績を上げた方である。本書には、学会、官界、産業界等への一切の遠慮なしに、長年の実績に基づいた著者の本心が書かれている。おそらく、規格協会主催の講演会で聴くことができた原田節が、本になったのだと思われる。
今日の日本社会のいろいろの問題点が、国際規格の観点から、すっきりと書かれている。政府系の組織の潤沢な資金に頼る代りに、それなりの政治に巻き込まれることを是として生きていくか、自分の実力、知力で正々堂々とわたりあって、かつ師を求めて海外にも当然のごとく出ていく生き方を選ぶか、という選択をせよ、と説く筆には、かなりの迫力がある。従って、英語を勉強することは当然であって、そのためには、どのような方法が良いかも、説明している。
国際規格活動は、技術屋が持ち得る国際的な政治活動である。若い時の純粋な技術者から、技術屋として社会に目を開いて行く段階で本書を読むことができれば、その後の人生をどのように過ごしていくのかを考えるヒントには、大いになると思う。今日の日本の閉塞感を克服するヒントが書かれていると言っても、言い過ぎではない。それくらい、国際ビジネスの成功には、国際規格が必要になっているということが、順々と説かれている。
向上心に燃える若いエンジニアに是非とも読んでもらいたいと思う。但し、著者の要求レベルは高い。易きにつく人生を選ぶか、高みを目指す人生を選ぶか、技術者として良く考えよ、と決心を迫る本でもある。
原田さんは、12月でIECのSMBを退任されるが、是非ともその知恵を次に生かす工夫を、その筋の方々が考えてくださるよう、是非ともお願いしたい。