まずはかなりの力作といっていいだろう。ちょっと高いしページが多いので最初は買うのをためらったが、仕事で使えそうなので買ってみた。インフラ事業に従事する人には金融がわかり、金融マンにはインフラ事業がわかるような内容になっている。銀行側だけでなく事業者側に立った視点でも語られている点は評価できる。民間のインフラ事業や日本にはまだ馴染みの薄いインフラ・ファイナンスに関して著者の経験にもとづいて詳しく説明されている。でも、内容や構成はよく吟味されているとはいえ、一般の読者が対象ならここまでこと細かく説明する必要があっただろうかとも思う。
海外でインフラ事業をするには日本お得意の技術だけでなくて、プロジェクト全体を作り上げるのが必要で、なかでも有利な資金調達ができる金融知識も持っていないと、経験豊富な外国企業と競争していけませんよ、というのが著者が主張したいことのようだが、これには全く同感である。これがただの主張だけでなく、そのための実戦的なノウハウが具体的に次々示されているところが凄い。それなりに海外で実際の経験がないと書けないような示唆に富んだ内容となっているのは確か。特にカントリー・リスクへの対応ノウハウのところはとても面白かった。
対象とする読者を幅広く想定したためか、入門的なことからかなり専門的なことまで盛りだくさんという感じである。中身は充実しているというか詰め込み過ぎというか。 無理な注文かもしれないが、むしろ対象とする読者を絞って、この3編を別々の本にしたり、難易度に応じてそれぞれ本を作ることでもう少しボリュームを抑えたり価格をさげても良かったのではないかと思う。