副題は「80系湘南型から457系まで国鉄急行形電車の足跡」、その名に恥じぬ中身の濃い内容。開発・設計、製作、現場試験、運行に実際にかかわった大勢の技術者・鉄道マンへの膨大な取材に基づき編集されている国鉄急行形電車の車両技術史。
国鉄急行形電車は決して153系から突然始まったのではなく、80系電車での数々のトライアルの積み上げが153系、157系、165系へと昇華されていくことがわかる。見た目が全然異なると思える80系、153系、157系の前面デザインも連綿と連なる統一デザインコンセプトに基づくことがわかる。実際に携わった人々の言葉には後のファンらの薄っぺらな解釈とは異なる重みを感じさせる。中でもお勧めは、限られた予算枠の中で修学旅行用の機能を徹底して突き詰めた155系の開発記録と、EF63とともに碓氷峠を越えられる電車の開発のための、連結器破断が相次いだ現場試験の記録が白眉。この155系も、159系、167系とモデルチェンジを経るにつれ、修学旅行電車のコンセプトを薄められていったのは時代の要請でやむを得ないとは言え、開発者の熱い情熱や工夫を思えば残念であった。サハシのサハ化計画など実現一歩手前まで行った計画図面なども興味深い。