東京近郊(山梨県を思わせる)の地方都市のひとつの青春模様が描かれています。
主人公はじめ登場人物の多くは、くそ真面目ではないけれど基本的に地味な善人です。そしてごく自然に、一にセックス、二に恋愛、三、四が家族と友情、そして五に仕事(勉強)といった感じで生きています。
地味な善人がこうした感覚を共有しているというのが新鮮でした。えらい自由やな、と。ここでは性は特別なものではなく空気のようなものです。なんかアメリカのTVドラマみたい。それとも地方都市じゃこれが普通なのか。そんなに多くはない登場人物のなかに、結婚、離婚、シングルマザー、理想の父親像、同性愛(めいたもの)、レイプ、ストーカー、ロリコン、親子で義兄弟、DV、二次元愛、純情な恋、まあなんでもござれです。
作品自体は地味なんですわ。田舎の地味な登場人物がこうしたことがらに普通に悩みながら、普通に生きようとしています。このギャップが作品の魅力です。
ただ、惜しむらくは作品が長すぎます。半分くらいの長さだったら新鮮でキレキレの作品だったの思うのだけど、延々とそういう話がつづきます。そのうちにどこか不毛感が漂い、世界の狭さに息苦しくなってくるような、、、、。それしかすることないんかよ、と。
でも十代、二十代の人にはおもしろいと思います。お勧めできます。だってそれしかすることないもんね(笑)。とくに男子は読むべきでしょう。自分がなぜモテないかを知るために。
大人の男にはキツいかも。ほかのレビューにも書かれてますけど、この作品、「男」が描かれていません。気合の入ったおままごとよろしく男という人形が動かされているような、、、。阿刀田高や五木寛之、北方謙三といった大御所たちは選評で褒めてます。