本書は日本版向けに最後の1章を書き下ろし、国連と日本を論じる。安保理常
任理事国入りできなかった日本は何をなすべきか。日本の国連外交の何が問題な
のかを専門家の立場から指摘し、提言する。私は訳者として、この章まできてこ
う考えた。国連が求めているのはたんに安保理拡大とか、分担金のより公平な負
担とか、国際官僚組織の効率化ばかりではないのではないか。西欧の近代政治思
想の申し子たる国連は新たな状況への適応にもがきつつあり、国連がグローバ
ル・ガバナンスの中心に立つために理念上の偉大なる脱皮を迫られているのでは
ないか。日本やインドが常任理事国入りする日があるとすれば、その時、東洋ア
ジアの思想や理念がともに持ち込まれ、国連の基本理念をさらに豊壌なものにし
なければならないのではないか、と。
アジア経済の台頭で世界のパワー・バランスは日々変化しつつあり、地球温暖
化、テロの日常的脅威、食糧エネルギー枯渇など従来型の安全保障の枠組みでは
とらえきれない危機と脅威にも直面しつつある。だからこそ、国連が偉大なる脱
皮を成し遂げて、グローバル機構として再活性化する日が望まれる。日本が途上
国支援や平和維持活動を支えていくだけにとどまらず、国連に理念的な貢献も求
められていると考えれば、国連の未来への関わりを狭くとらえる必要はないのだ
と思えてくる。その出発点として、クワコウ教授がつまびらかにする現在の国連
が抱えた限界点を徹底的に読み解いておきたい。
(池村俊郎/いけむら・としろう・読売新聞社調査研究本部主任研究員)
登録情報 |
この商品にタグをつける(詳細)タグは、商品との関連性が非常に強いキーワードまたはラベルのようなものです。
タグにより、すべてのお客様がお気に入りの商品の整理と確認を行うことができます。 ※タグは初期設定で公開になっています。詳しくはこちら |
|