本書は、日本近代文学を専門とし
現在は早稲田大学教授である著者が、
国語教育の問題点について論じる著作です。
著者は、国語教育がイデオロギー装置であると述べた上で、
個別の教材を精読し、その教材のどこに問題なのか
さらに、国語教育全体の問題点を指摘します。
「古き良き日本」を印象付ける教材
文章から「教訓」を得ようとする傾向が如実に現れたPISAの結果
休職してまで大学院で最新の知識をインプットする教師の話
など興味深い記述が多いのですが
とりわけ印象的だったのが、本書の末尾で展開される
イニシエーションとしてのセンター試験という議論です。
内面を社会に回収していく中で
言葉では言い尽くせない
不気味なものへの感度が鈍っていく
・・・という指摘は示唆に富んでおり、
自分は「そうしたもの」への感度が鈍っていないか
たえず気をつけたいと感じました。
また、もう一つの本書の大きな魅力が
著者の軽妙な語り口です。
「こころのノート」を「不気味」と評し
小学校六年生にまでなってロボットの犬と本物のイヌの区別がつかないバカがいるだろうか
と読者に問いかける文章に
思わず笑みがこぼれれてしまいましす。
国語教育の問題点を指摘するとともに
私たちの物の見方・考え方にも、再考を促がす本書。
国語教育に関心のある方はもちろん
自分自身の本の読み方を見つめなおすきっかけとしても
一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。