国権の最高機関「国民クイズ」の番組に出演し、勝ち残れば殺人でもエッフェル塔の私物化でも合法化される、「あなたのための全体主義」の世界。ほとんど荒唐無稽とすらいえる設定だが、その設定を大前提に構築された世界の中で複雑にうごめく人々を徹底的に描写することで、中途半端なリアリズムを超越した濃密な勢いが生み出されている。表情豊かでポップな加藤伸吉の独特な描線も、いい意味で漫画っぽいこの物語の奇想天外な魅力を増幅させることに貢献している。
「国民クイズ」および同番組放映中に差し込まれるCMの描写の過剰なばかばかしさは、風刺のための風刺ではなく、あくまでエンターテイメントのための毒づき。状況設定や世界観の説明を兼ねる見事なオープニングから、怒涛のようにクライマックスに向けて転がっていく物語とその描き方が巧みだからこそ、さまざまな問題提起も嫌みなく興奮と同時に伝わってくる。これぞ良質な問題作。打ち切り気味のやや唐突な終わり方には賛否両論あるだろうが、とにもかくにもこの圧倒的な熱量はすごい。はてしない欲望の果てにあるものは、はたして何か?(横山雅啓)
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いやぁ、でもまぁ、しかしなんですなぁ。こういう漫画好きなんですよ。設定からしていいモンね。日本で「国民クイズ体制」っていう政治形態が成立しているんだからね。何だそれは?って最初は誰でも思うけれども、俺も思ったけど、何だかんだ言って引き込まれて行くのね。
加藤さんの絵はふざけているように見えるけれど、その実はしっかりと書き込まれていて小技なんかが効いているし、原作の杉元さんも全体を良く考えて書いてらっしゃるしね。欲を言えば、細部をもっちょっと詰めて欲しかったけど。「サラリーマンが一生働いても都内に家の一軒も持てない社会は確かに狂っている!しかし住宅が欲しいという当然な欲求をあきらめろとは誰にも言えない!」私が好きなこの部分から解るように実は硬派な漫画なのであります。題名だけから判断してはイケナイ良い見本。 この漫画は、是非とも多くの人に読んでもらって色々考えて欲しい。世界の個人主義の為に・・・。
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