新訳=現代語版『国富論』です。思い切った翻訳(日本語としての流れという
か読みやすさを重視)、注釈を全て切り取ってしまうという、これまた思い切った
編集(研究者にとっては当然有った方が良いのですが、先ず「読み物」として
手に取る読者にとっては、特に巻末にまとめる方式では更に読み難さが増すのです。
なので逐次参照よりは必要ならば、本文に盛り込んでもらった方が良い)によって
手に届く本になりました(値段はともかくね)。
第1編第1章の頭から、つまり始めからで衝撃を受けました。生産性の向上は
分業によって得られた、という点です。その後、その理由を示されて更に衝撃を
受けたのです。更に読み進めると、物の価値はどうやって決まるのか?、何が
物価に影響を与えるのか?、都市と農村の関係はどうなっているのか?国はどんな
流れで富んで行く(産業構造の変化を成す)のか?などの経済的な点や、貴族は
浪費するばかりで社会に対して何の益も成さない、と、いかにも『道徳感情論』を
著した人らしい事柄も述べられております。
読みやすくいなったとは言え、やはり二百数十年の時を乗り越えてきた本です。
手ごわい相手ですが、今に通じることも多いです。挑戦する価値有ります。
尚、上巻は序論と第1編から第3編までを収録しています。ついでに書くと
奥付入れて434pの大著なのに、良い紙と製本技術のなせる技でしょうか?
かなり薄いです。この点も評価したいです。