小学校(敗戦前、国民学校と呼ばれた)の奉安殿で天皇皇后のご真影(写真)を拝まされ、宮城遙拝させられ、紀元節・天長節に登校し君が代を歌わされた最後の世代として、この本を読んで、天皇崇拝こそ国家神道の根幹と理解できた。
今まで幕末水戸藩の内紛を語るときに登場した歴史上の人物、会沢正志斎の思想が明治政府の皇室祭祀重視の源泉と知り得たことも収穫だ。
また天皇の行う皇室祭祀全てが古くからの伝統であるかのような議論があるが、祭祀13のうち11は明治に新たに定めたと知ることが出来た。
敗戦とその後の連合軍占領により大打撃を受けた神道勢力の復活が第五章に記述されている。すなわち、紀元節復活としての「建国記念の日」法案成立、元号法案成立(これにより政府はじめ都道府県庁の文書は世界とのつながり不明の「平成」表記に決められ国民に強要している)などを勝取り、天皇のために戦死した兵士を祀る靖国神社(因みに鳥羽伏見の戦いの官軍の戦死者は祀るが幕府軍の戦死者は祀らない)への国家関与を主張している。現在、八幡様でも天神様でも、祝天皇皇后ご成婚何年とか、伊勢神宮へお参りしようなどのスローガンが見られるのは神社本庁の天皇崇敬思想の普及と理解出来る。その底力は恐るべきものだ。
明治以降の別格官幣社設立、南朝方に与した「忠臣」の選別などにも触れて貰いたかった。
今後「雄国問題」「国旗国歌問題」「天皇制」などを論じるときに欠かせない参考書となる。
一つの読み方として、まず第五章「国家神道は解体したのか?−戦後−」に目を通して現状認識を行い、冒頭に戻ってそのよって来る所を読む、を薦めたい。