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国家の崩壊―新リベラル帝国主義と世界秩序
 
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国家の崩壊―新リベラル帝国主義と世界秩序 [単行本]

ロバート クーパー , Robert Cooper , 北沢 格
5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

EUが外交と安全保障政策の基盤にすえる新しいグローバル戦略―「新リベラル帝国主義」とは、どんな思想で、世界の国々をどのように色分けするものなのか。日本や中国、北朝鮮をどう捉えているのか。武力衝突やテロの温床となっているアジアやアフリカの「プレ近代国家」に対して、どのような行動をとろうとするのか。単独覇権主義をかかげる超大国アメリカと、どのように向き合うのか…。この思想の提唱者で、英ブレア前首相の外交ブレーンとして活躍した著者が、21世紀の世界秩序を構築するための現実的な方策を、数多くの史実と鋭い政治的洞察を織り交ぜながら説く。世界18カ国で出版され、英国で政治に関する優れた著作に与えられる「オーウェル賞」を受賞した話題の書が、日本の読者向けに全面改稿されて、待望の邦訳。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

クーパー,ロバート
英国の上級外交官。EU理事会の対外・政治軍事問題担当事務局長。1947年英国生まれ。オックスフォード大学で学び、米国留学を経て70年、英国外務省入省。東京、ボンなどの大使館に勤務したのち89年から93年まで本省の政策企画局の責任者をつとめる。この間、イングランド銀行や内閣官房でも要職を歴任し、2002年までアフガニスタン英国特別代表。07年から現職。エリザベス女王の日本訪問に随行した功績によりロイヤル・ヴィクトリア勲章を、また後に、外交分野で傑出した功績のあった個人に授与される聖マイケル・聖ジョージ勲章(CMG)を授与されている。2005年、英国プロスペクト誌から「世界最高の知性100人」に選ばれた。『国家の崩壊―新リベラル帝国主義と世界秩序』で、英「オーウェル賞」受賞

北沢 格
中央大学経済学部准教授。1960年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻博士課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 245ページ
  • 出版社: 日本経済新聞出版社 (2008/07)
  • ISBN-10: 4532353157
  • ISBN-13: 978-4532353155
  • 発売日: 2008/07
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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30 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By h.yamagata 殿堂入りレビュアー
形式:単行本
 本書の日本版は不誠実な本である。そしてそれは、第三部を全面的に差し替えた著者の不誠実さである。
 そもそも本書は、プレ近代、近代、ポスト近代という枠組みありきで議論が展開し、何がその変化をもたらすかという原因の考察がないか、あっても倒錯している。たとえば植民地主義や領土拡張は国内の人口成長圧力が大きな要因。だから先進国で国境政治の意義が薄れてポスト近代化する原因の一つは人口減少だ。ところが本書は何と因果関係を倒錯させ、人口減少が政治的変化の結果だとする変な議論を持ち出す。その他、経済的要因に対する考察がきわめて浅く、根本の議論の説得力も一部は疑問。ソ連崩壊が、経済要因ではなく外交圧力によるものとでもいいたげな記述はひどいと思うし。そして最終的には「もっと相互理解を」「もっと話し合おう」という結論で外交官の我田引水的な印象も大いにある。
 だが最大の問題は第三部。原著では、EUもちゃんと軍事力があるというのが主張となっている。だから必要な時には戦争すべきであり、アメリカだけが意味ある軍事力を持つとするネオコン的な発想に対して、EUだって軍事力を行使できるし、アメリカの守護に甘んじずに積極的にそうすべきだ、という主張。原著の最終章の結論は、EUは通貨統合に続いて安全保障の統合と軍事統合を行うべきだ、というもの。そしてそれがあるからこそ本書は本国で、タカ派とハト派の橋渡し、としてほめられている。
 それがこの日本版は、その部分を全面差し替えし、アメリカ一極ではそろそろたちゆかないという理念の記述だけに終始。アジアの軍事バランスの話題に向かうのを避けたかったんだろうが、改竄としてあまりに不誠実。そして訳者も、それについて後書きで言及するだけの誠意があってもよかったのでは?
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
なぜ国際機関や、先進国の政府・メディアはソマリアの海賊や
アフガニスタン・イラク・パキスタンにこれほど関心や資源を割くのか。
その問に対する認識の1つが本書である。

まず、日本語版は山形浩生氏が評されたような改悪ではない、と私は考えている。
「序文」や「日本語版に寄せて」のクーパーの文章を読めば、
日本に対する彼の深い認識が伺えるはずだ。家康の「泣くまでまとうホトトギス」
を引用している文章を見たときは驚愕した。
(余談ではあるが、彼のパートナーは日本人ピアニスト内田光子氏である)

第3部はそんな彼が日本の読者のために改定・補筆してくれた文章であり、
質を低下させているようなものではない。
私も原著 Breaking of Nations で改定前の第3章を読んでみたが、
イラク戦争の結果がまだ不透明な状況かつ、
焦点が欧米関係に絞られている(それはそれで興味深いが)。

このように文章のアップ・デートおよび、日本人読者用に構成しなおした
日本語版のほうが「改善」されている内容である、といえる。

私が解釈した、本誌の要旨はだいたい以下の通り。

・現代の国際関係はポスト・モダン(主に先進国・とくにEU)、
モダン(発展途上国)、プレモダン(破綻国家)の圏域に分かれており、
国家の形態・行動のインセンティブは本質的に違う。

・現代の脅威はモダン(例えば中国、インド)よりもプレ・モダン(ソマリア、アフガンなど)
にあり、国際テロリストと核兵器の拡散こそが、ポストモダン圏にとって最大の課題である。

・しかし、介入にはロバート・ケーガンの『ネオコンの論理』が推奨するような
単独行動は認めがたい。アメリカは特殊なイデオロギーがあり、時として失敗を犯す。
この誤りを修正し、ポストモダン圏の国家が一致して介入するためには、
日本やEUなどのアメリカとの協力と関与が欠かせない。

しかし、この本の魅力は巧みな比喩と著者の文学的なセンスにある。
本書は薄いが、著者の国際関係の比ゆ的な描写がいちいち的確であり、
「世界秩序」についての俯瞰図を示してくれている。以下いくつか挙げておく。

1「(靖国問題に対して)…個人的信条としては、戦没者に敬意を表したい、という
小泉首相に共感を覚える。高貴な愛国的動機によって生命を失いながら、
その大義が彼らの犠牲に値するものではなかったという点で、彼らの死は
二重に悲劇的である。しかし、外交関係においては相手がどう受け取るかということ
が問題なのだ」(一部改変、p.24)

2「ポストモダン国家にとっての困難は、(さまざまな要素は国際化するが)、
アイデンティティと民主制度はこれからも一貫して国内的なものであり続けることだ。
これこそが、伝統的な国家が、伝統的な役割を終えた後もなお、
国際関係の基本単位として残るだろうと予想される最大の理由なのである。」(一部改変、p.65)

3「アメリカとはひとつの理念である・・・テロリストがスペインやイギリスを
攻撃するのであれば、彼らは国家の敵と呼ばれる。しかし、
アメリカを襲った場合、大統領は彼らを自由の敵と呼ぶだろう。
・・・フランクリンは「アメリカの大義は人類の大義である」と延べ、
それ以降のアメリカ指導者たちもこのヴィジョンを共有した。
ドイツ、日本、イギリス、どの国の指導者であっても、
この種の発言をするなど夢にも思わない。」(pp.208-210、一部改変)

また以下のレビューも参考のこと
・読売新聞(岩間陽子)
 http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20081020bk02.htm
・Foreign Affairs, John Ikenberry
http://www.foreignaffairs.com/articles/59207/g-john-ikenberry/the-breaking-of-nations-order-and-chaos-in-the-twenty-first-cent
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
形式:単行本
 著者のいう「国家の崩壊」とは、ちょうどEUのように国境という概念が消えているような形態を指している。したがって、本書の中で言う「ポスト近代国家」というような表題としたほうが正確である。

 著者は、明治維新後の鎖国から急発展した日本、そして敗戦後の日本の目を見張るような経済発展を賞賛している。その上で、日本こそアジアにおいて「ポスト近代国家」になりうる国であるとし、そのためには韓国や中国とともに「アジア共同体」というような意識を持つことが大切であるとも言っている。

 また、本書はアメリカについて多くを割いている。20世紀後半に、パックス・アメリカーナとして世界に平和をもたらしたアメリカの力は明らかに衰えを見せている。これからは、「パックス・グローバリズム」として、土台作りをはじめるときであるとしている。

 ひところもてはやされた「グローバリズム」に相通じる考え方であるものの、著者の分析はこれからの国家論とでもいうべきものである。

 今、わが国では、近隣諸国特に中国とは、経済の関係が深いにもかかわらず、互いにいい関係とはいえない。韓国とも同様である。過去の歴史から見て、難題は多いものの、相互依存を深める経済を考えれば、EUとまではいかないまでも、新たな関係作りを考えるときかもしれない。
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