色々な面で面白く読めた。
著者の主張のいくつかには大賛成。
日本語教育の重要性、日本の自然の美しさ、
自国文化に誇りを持てなければ世界でも尊敬されない、等々。
酒の席での話なら、意気投合して一晩飲み明かせそうだ。
素晴らしい主張があっても、一冊の本にするとなると、
著者の主張を裏付けるような明快な説明が求められる。
本書では、その「説明」に極端な「光と影」があることが興味深い。
まず光の部分。
非常に読みやすくて面白いエピソードが満載だ。
一見過激に思える作者の主張に対し、
この本を読んだ多くの人が「うん、うん」と唸ったのではないか。
次に影の部分。
多くのレビュアーが既に指摘しているが、
説明の論理展開が壊滅的で、まったくの「詭弁」の世界なのだ。
例えば本書中の次の主張。
「中世の日本には優れた文学作品が多いが、
西洋には『カンタベリー物語』程度しかない。
したがって日本人は素晴らしい。(意訳)」
おいおい!
と言うことは、紀元前2,000年から文字も文明もあった中国人に、
我々日本人は永遠に頭が上がらないのか?
著者は冒頭で「論理」を真っ向から否定しているが、
著者の主張は、その否定した「論理」によって
説明されていることに他ならない。
しかも突っ込みどころ満載の怪しい論理によってだ。
これは自己否定のパラドクスに陥っているのではないか。
それでも、一見してもそれを感じさせない文章力はさすがである。
私は仕事でマーケティング的な文章を書くことがあるが、
著者の説明手法には大いに見習いたいところだ。