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国家の危機
 
 

国家の危機 [単行本]

的場 昭弘 , 佐藤 優
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

東日本大震災は思想問題である!

国家を市民社会の論理の延長上にあるものと考えてはいけない。
それは、宗教と同じで、まったくの外部として我々の社会の上に
覆いかぶさってくるものなのだ。ちょうど、貨幣がそうであるように。そして、自然がそうであるように。だからこそ、市民社会の論理では太刀打ちできない事態にいま我々は突き当たっている。近代の限界、"平和時"しか想定していない日本という国家の限界が露になっているのだ。

遥か19世紀、この未曾有の国家の危機を予見していたマルクスの思想で読み解く日本の国難と将来。国家、宗教、貨幣、自然と、その超克の可能性についての徹底対論。

《目次》
序 章 東日本大震災をマルクスで読み解く
第1章 変質する国家
第2章 マルクスと宗教性
第3章 社会主義はなぜ失敗したのか
第4章 『資本論』を読む
第5章 マルクスの可能性

内容(「BOOK」データベースより)

「社会主義は死んだ」―そう言われて二十年が経過した。しかし、資本主義の内在的論理を知るためにマルクスを読むこと以上に有益な方法はない。だから、国家と人間の危機に際して、それは繰り返し我々に省察を迫ってくる今も生きた普遍的理論なのだ。まだ見ぬ未来の世界を、現在に逆照射するある種の啓示として―。

登録情報

  • 単行本: 321ページ
  • 出版社: ベストセラーズ (2011/5/26)
  • ISBN-10: 4584133190
  • ISBN-13: 978-4584133194
  • 発売日: 2011/5/26
  • 商品の寸法: 19 x 12.4 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 本書は、序章だけは大震災を契機としたわが国の国家的危機をテーマにしているが、本論はすべて震災以前になされたマルクスと「資本論」をテーマとする的場昭弘と佐藤優の対論である。
 的場が正統派の立場から「資本論」を価値の実体論を中心に読むのに対して、佐藤は、宇野弘蔵の価値形態論に即して、しかもそれを廣松渉流の関係主義をも摂取して独自に読みなおそうと奮闘している。たしかに経済学のプロである的場が主に発言し、佐藤は聴き役に回っている感もある。だが、それでも、佐藤によるマルクス=宇野理論の保守主義的解読はユニークで瞠目させられる。しかしそこには疑問もある。本書が強調している社会に対する商品形態の外部性論を国家・民族や自然・土地や文化・文明にまで押しひろげていくと、佐藤は、的場や柄谷が称賛し佐藤自身もこれまで評価してきたアソシエ―ショニズムと根本的に論理的な矛盾をきたすことになるのではないか、という点である。アソシエーションという自立した個人による社会契約論的組織ではなく、外部的な商品形態以前に存在する自生的・伝統的な共同体(コミュニティ)こそ、保守主義者の佐藤がほんらい評価すべきものなのではないだろうか。
 じっさいこの本で佐藤は、青木孝平の名を挙げて、的場のアソシエーショニズムと青木のコミュニタリアニズムとの違いについて厳しく問いただしている。この佐藤の問いは鋭いが、的場はこの質問にまったく答えず自身のアソシエ―ショニズムを得意げに語るのみである。これに対して佐藤は攻め方を変えて、マルクス「資本論」の関係主義的な読解を徹底していくと、必ず京都哲学的な保守主義にいたらざるを得ないと述べている。京都学派の日本主義に連なるものとして西田・和辻や廣松とともに過激派の黒田寛一に高い評価を与えている。これは的場による実体主義的・進歩派左翼的なマルクスの読み方に対する最大級の痛烈な皮肉であろう。
 本書において、佐藤のマルクス解読がついに柄谷や的場のアソシエ―ショニズムと決別し、むしろ保守主義的な共同体主義(コミュニタリアニズム)へと接近しつつあることを強く実感した。以前に雑誌「情況」の論文でも、佐藤は青木によるコミュニタリアン的なマルクス理解を評価していてやや奇異に感じていたが、本書を読んでこの点が納得できた。佐藤優は、宇野の形態主義と廣松の関係主義に基づくかぎり、「資本論」は保守主義的な著作としても読みうるし、マルクスと宇野による市場経済の外部性批判は共同体主義への展望を開くのが本道なのだ主張しているように感じた。
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By デルスー VINE™ メンバー
佐藤氏にはすでに多くの対談本があるが、そのほとんどは、
「異能の外交官」としての佐藤氏に注目した対談相手が、
旧ソ連の崩壊過程や、神学・マルクスなどの思想遍歴、
あるいは時事問題について、佐藤氏独特の見解を引き出す
というもので、本書のように、マルクスの専門家としての
的場氏に対して、基本的には素人の読み手としての佐藤氏の側から
聞き取りを行いつつ議論を展開する、という体裁を取ったものは、
おそらく初めてではないかと思う。

タイトルにもあるように、まずは東日本大震災後のわが国の
危機的状況を主眼に据えた対談でありながら、内容は非常に
理論的で抽象度が高く、一見するとマルクス訓詁学のようにも
見えてしまいかねない本書だが、本文中にも語られるように、
単なる情勢論にはあらかじめ一定の限界があり、むしろ
危機であるからこそ本格的な思想の力が要請されるという、
知識人ならではの矜持や覚悟のようなものが感じられる。

(私を含めて)マルクスを読み込んでいない読者には
かなり難解な内容だと思われるが、ひとつ興味深かったこととして、
マルクスが資本主義という経済システムの解明に終始した
(というより、その先を書く以前に彼の生命が終わってしまった)
のに対して、経済学についてはむしろ素人同然だったプルードンは、
さらに踏み込んで人間関係の根本的な変革を考えていたという、
的場氏の指摘が挙げられる。(これまでの佐藤氏の著作の中では、
あまりプルードンの名が挙がることはなかったように思う。)

とはいえ、これを現実の政治に適用すると、鳩山氏の「友愛」のような
吹けば飛ぶような薄っぺらい言葉になってしまいそうだが、
それとは根源的に異なる力を思想の言葉が持ち得るのかについて、
できれば続編を読んでみたいという気にさせられた。
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10 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
佐藤優という存在は日本の言論界に特殊な存在だ。
「右・左」の区分に納まりきらない大きさをもつ知の巨人である。
評者は基本的に保守的な思想に好感を抱いているのだが、佐藤優が読み解くマルクスも興味深く読めた。

こういう形でマルクスをとりこんでしまうというのも日本文化の奥深さなのかと感じる一方で、佐藤優の分析の鋭さに舌を巻いた。
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